2007-08年の金融危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 21:48 UTC 版)
「投資銀行」の記事における「2007-08年の金融危機」の解説
世界金融危機 (2007年-2010年)は、リーマン・ブラザーズ(世界最大規模の投資銀行の1つ)の経営破綻およびメリルリンチや小規模なベア・スターンズをもっと大きな銀行に身売りする(事実上、巨大銀行が彼らを経営破綻から救った)など、幾つかの著名な投資銀行の崩壊をもたらした。多くの投資銀行を含む金融サービス業界全体が、不良資産救済プログラム(TARP)を通じた公的資金投入によって救済された。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど生き残っている投資銀行は、TARPの救済を受け入れるべく伝統的な銀行持株会社に転向した。国家が銀行業界を救うのも同然の状況が世界中で発生した。当初、銀行は経済を安定させて凍てついた金融市場を雪解けさせることを目的に、7000億ドルのTARPの一部を受け取っていた。 最終的に、銀行に対する納税者の援助は13兆ドル近くに達するも、その大部分は精査もあまりされずに 融資額が増えることもなく、金融市場は凍結したままだった。 この危機は、グラス・スティーガル法により課せられた規制のない投資銀行のビジネスモデルに、疑問を投げかけることとなった かつてゴールドマン・サックスの共同会長だったロバート・ルービンが、クリントン政権の一員となって銀行の規制緩和を行うと、老舗企業の引受業務で長期的な利益を追求する以前の保守主義は、より低い水準での短期的な利益に置き換えられた。以前は、企業を一般公開するには最低5年間事業継続したうえで3年連続での収益性を示す必要があったと、このガイドラインに書かれていた。規制緩和後にこれらの基準は無くなったが、小規模投資家はこの変更による全体的影響を把握していなかった。 ヘンリー・ポールソンやエド・リディ(英語版)のようなゴールドマンサックスの元最高経営責任者の多くは政府内で高い地位にあり、物議をかもした納税者資金による銀行救済を監督していた。米議会の監督パネル(en)より公表されたTARPの監督レポートでは、この救済が危険な行動を助長する傾向があり「市場経済の根本的な教義を腐敗」させかねないと判明した。 召喚状による強制証言の下、ゴールドマンサックスは129億ドルの納税者補助金を受け取ったことを明らかにし、そのうち43億ドルが多くの海外銀行、ヘッジファンド、年金を含む32団体に支払われていたことが判明した。同じ年に、同社は政府から100億ドルの援助を受けて数百万ドルのボーナスまで支払っおり、賞与の支払総額は482億ドルだった。同様に、モルガン・スタンレーはTARP基金で100億ドルを受け取り、ボーナスに44.75億ドルを支払っていた。
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