1792年の貨幣法
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「アメリカの金貨」の記事における「1792年の貨幣法」の解説
1797年銘の1/2イーグル金貨。ターバンヘッドでヘラルディックイーグル。16-starの変種。 1822年銘の1/2イーグル金貨。キャップドヘッド。 1792年4月2日にアメリカの貨幣について規定した貨幣法(Coinage Act of 1792)が合衆国議会を通過した。ここではアメリカ合衆国ドルが規定され、広く使われているスペインドルと等価に設定された。独立前、入植地の法貨はイギリスのポンドであったが、イギリスは入植地に送るポンドを制限し、入植民もポンドを嫌いスペインドルを好んで使用し多く流通していた。 この法律の9条で規定されたイーグル(10ドル金貨)は270グレーン(17.4957g)の量目で品位22カラット、247.5グレーン(16.0377g)の金を含有し、以下1/2イーグル(5ドル金貨)および1/4イーグル(2.5ドル金貨)も量目・品位共に額面に比例となった。金貨に合金されている残り2/24は銅および銀とされ、この合金成分のうち銀は半分以下、すなわち全体の1/24以下と規定された。1ドル銀貨は416グレーン(26.9563g)の量目で371.25グレーン(24.0566g)の銀を含有し、両方が本位貨幣とされた金銀複本位制であり、金銀比価は1:15と設定された。この法律の14条では金や銀の地金を造幣局に持ち込めば当初は無料、後に僅かな手数料で金貨や銀貨に鋳造される自由鋳造が認められた。 製造された金貨および銀貨は政府関係者および市民によって構成されフィラデルフィアの造幣局内に設置された分析委員会(Assay Commission)で貨幣の試験分析が行われ、金および銀の含有量が公差以内に規定通りに造られているか確認された。この委員会は1980年に廃止されるまで継続した。 このタイプの金貨には表側にはロバート・スコットのデザインによるターバンヘッド(Turban Head)と呼ばれるターバンのように見える帽子を被った自由の女神像が描かれ、リバティキャップ(Liberty Cap)とも呼ばれる。裏側にはイーグル及び1/2イーグルには当初小型イーグル(Small eagle)、後に「E PLURIBUS UNUM」と刻まれたヘラルディックイーグル(Heraldic eagle)となり、1/4イーグルはヘラルディックイーグルのみであった。1807年から1/2イーグル、および1808年の1/4イーグルはジョン・ライヒによる自由の女神の胸像となり、ドレイプドバスト(Draped Bust)またはキャップドバスト(Capped Bust)と呼ばれるデザインになった。このタイプをターバンヘッドと呼ぶ場合もある。1/2イーグルは1813年から、1/4イーグルは1821年からロバート・スコットおよびジョン・ライヒによる頭部のみのデザインとなりキャップドヘッド(Capped Head)と呼ばれる。1/2イーグルおよび1/4イーグルは1829年から直径が縮小され、デザインはウィリアム・ニースが担当した。 額面は1807年から刻まれるようになり、1/2イーグルは1807年から1834年まで「5 D.」、1/4イーグルは1808年から1834年まで「2½ D.」と刻まれている。
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