タウベルト:12のコンサート・エチュード
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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タウベルト:12のコンサート・エチュード | 12 Études de Concert Op.40 | 出版年: 1838年 初版出版地/出版社: Paris, à compte d'auteur |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1曲 No.1 EROICA [Allegro appassionato] | No Data | No Image |
2 | 第2曲 No.2 CANZONETTA [Allegro brioso] | No Data | No Image |
3 | 第3曲 No.3 DIE LIBELLE [Vivo scherzaundo] | No Data | No Image |
4 | 第4曲 No.4 GEISTERREIGEN [Mesto e sostenuto ma non slentando] | No Data | No Image |
5 | 第5曲 No.5 VULCAN [Presto agitato] | No Data | No Image |
6 | 第6曲 No.6 PASTPRALE [Andantino con moto] | No Data | No Image |
7 | 第7曲 No.7 ALLA TURCA [Allegro energico] | No Data | No Image |
8 | 第8曲 No.8 NOTTURNO [Andantino] | No Data | No Image |
9 | 第9曲 No.9 HECTOR. [Allegro con fuoco ed energia] | No Data | No Image |
10 | 第10曲 No.10 UNDINE [Vivo scherzando] | No Data | No Image |
11 | 第11曲 No.11 UNTER CYPRESSEN [Sostenuto sempre legato ed espressivo] | No Data | No Image |
12 | 第12曲 No.12 VITTORIA [Allegro pomposo con brio] | No Data | No Image |
作品解説
タウベルトのまとまったピアノ練習曲集としては現段階で把握されている限り唯一の作品である。各曲には特定の技巧修得を目的とする音型が充てられているが、曲の展開に応じて様々な演奏技巧が織り交ぜられる。演奏技術の完成と同時に、タウベルトは表題が示唆するイメージに即した多様な音楽的表現を追究している。この点、本作はモシェレス、ヘンゼルトが同時期に手がけた練習曲と並んで「性格的練習曲」に分類することも出来よう。パリのルモワーヌ社から出版された初版にはタイトル、運指番号が欠如しているが、ライプツィヒで出版されたホフマイスター版には運指番号に加え以下の()内に示したドイツ語又はイタリア語の表題が付されている。これらは音楽様式との一致から、恐らく作曲者自身によるものと推察される。
■No. 1(英雄)Allegro appassionato ヘ短調
右手のオクターヴと左手の跳躍の練習曲。哀愁を帯びた主題はシンフォニックな変ニ長調の中間部を挟んで新しい分散和音の伴奏音型と共に回帰する。
■No. 2(カンツォネッタ)Allegro brioso-Andantino 変ニ長調
左手の練習曲。連続する六度、五度、三度と分散和音、装飾音の練習曲。序奏に続き、ギターの爪弾きを思わせる伴奏と共に素朴な唄が中音域で歌われる。
■No. 3(とんぼ)Vivo scherzondo イ長調
音階とオクターヴを組み合わせた音型の練習。ひらひらと宙を舞う蜻蛉。
■No. 4(亡霊の踊り) Maesto e sostenuto ma non slentando ニ短調―ニ長調
最上声部に置かれた歌唱的な旋律と伴奏パートを弾き分ける練習曲。内声の伴奏音型は左右の手で取り合う。中間部以降はアレグロに移行し、手の交差を伴う急速な分散和音の音型へと変化する。
■No. 5(火山)Presto agitato ト短調
急速な音階、分散和音の練習。16分音符によるトッカータ風のパッセージは順次左右の手に配される。
■No. 6(パストラーレ)Andantino con moto ハ長調
六度、五度の重音を担う左手と装飾音の練習。牛たちの憩う野には鈴の音が響き渡る。
■No. 7(トルコ風に)Allegro energico イ短調
左手を大きく開く練習曲。左手には10度音程の連続、右手にはオクターヴを伴う音階が置かれる。トルコの軍楽。
■No. 8(ノクターン)Andantino ト長調
分散和音の上にベル・カント風の優美な旋律を置く典型的なノクターン。旋律は即興的な手法で華麗に装飾される。
■No. 9(ヘクトール )Allegro con fuoco ed energia ト短調
左手の和音連打と連続的なオクターヴの練習曲。再現部からコーダにかけて劇的な展開が見られる。
■No. 10(水の精)Vivo scherzando 変ロ長調
音階と重音を組み合わせた音型の練習曲。一貫して16分音符の無窮動が繰り広げられる。
■No. 11(糸杉の下で)Sostenuto sempre legato ed espressivo ヘ短調
右手のオクターヴ練習曲。比較的テンポの遅いオクターヴによる陰鬱な旋律をレガートで演奏する。
■No. 12(凱旋)Allegro pomposo con brio 変イ長調
左手の和音連打、右手のオクターヴ、重音を伴うオクターヴ跳躍の練習曲。勇壮な軍隊行進曲。
1ギリシアの伝説上の英雄。トロイア王の長男で、トロイア戦争では総大将を務めた。
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