10系気動車の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 02:27 UTC 版)
「国鉄キハ55系気動車」の記事における「10系気動車の問題点」の解説
エンジン2基搭載車の実用化で走行性能面は改善されたものの、キハ10系は以下に挙げられるような、決して快適な車両とは言い難い課題を抱えていた。 軽量化が最優先された基本構造のため、客車のようなデッキ仕切の設置は見送られた。また車体幅は標準的な客車・電車に比して20cmも狭く、天井も低くされた。 暖房装置は、初期には戦前のガソリン動車同様に排気ガスの廃熱を利用した熱交換式排気暖房であった。20m車体での排気暖房は能力不足であり、かつ暖めムラが多かったため、途中から軽油燃焼式温風暖房装置への切替を余儀なくされた。 初期型のクロスシートは肘掛けがなく、背ずりは低いビニール張りで当時のバス並みであった。後期型は背ずり高さが拡大され、表面も客車並みにモケット張りとなったが、軽量化のため背ずりの中身は枠と詰め物だけで仕切り板がなく、背中合わせの乗客同士で動きが伝わる作りの悪い構造であった。前述した関西本線準急列車では、競合する近畿日本鉄道(近鉄)特急に対して優位となったのは、名阪間直通運転と速達性のみであった(近鉄特急史も参照)。 台車は鋼板プレス加工により組み立てたDT19形を装着するが、こちらも軽量化のため乗り心地に重要な役割を果たす枕ばねを硬い防振ゴムブロックで代用した設計で、充分に振動を吸収できず、特に軸ばね動作が制約されるブレーキ作動時には著しく不快な挙動を示した。 上述問題点の中でも、ことに車内設備は普通列車用としても低水準だったことから、抜本的対策が求められた。
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