鬼一と家族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 01:08 UTC 版)
「風の市兵衛シリーズの登場人物」の記事における「鬼一と家族」の解説
鬼一 磯之助(おにいち いそのすけ) 江戸相撲の元関脇で、47歳。かつては「土俵の鬼」とあだ名される人気力士で、大関昇進間違いなしと言われていたが、15年前におぞう甚助と諍いとなって図らずも彼を死なせてしまったため、江戸を所払いとなった。その後、用心棒などを務めて糊口をしのいでいたが、あるときから浪人相撲を取るようになる。 妻には5年たったら迎えに来ると約束していたが、15年経ってようやく江戸に戻った。その時には妻も母も亡く、水茶屋で働いていた一人娘のお秀にも冷たく突き放されてしまう。その際、お秀が妊娠していることを感じ取り、相手が順吉だと知ると、どう責任を取るつもりかと順吉に詰め寄った。その件につき、市兵衛に意見されると、市兵衞の人柄を見定めるためだと言って相撲を取ることを求めた。その相撲に負けると、二度と橋本屋に近づかないことを約束した。 江戸に戻った後は、元兄弟子で雑司ヶ谷の浪人相撲の世話役をしている宗十郎の手伝いをし始める。そして、長年の無理がたたって心臓が弱っていたが、最後の相撲として大名たちの御前相撲で又右衛門と勝負することになり、勝利した。その夜、おぞう甚助の息子である吉五郎と一味の者たちが甚助の仇討ちと称してやってきたが、途中で市兵衛の加勢があって一味を撃退する。そして、これまで浪人相撲で稼いできた金と、又右衛門との賭け勝負で得た金をお秀に渡すよう市兵衞に頼んで息を引き取った。その遺骨は、母や妻が眠る回向院の墓に納められた お秀(おひで) 鬼一が30歳の時に生まれた一人娘。3歳の時に父が所払いとなり、祖母や母が苦労の末に亡くなってしまう。母にかかった薬料や看病で働けなかったために作った借金返済のため、10ヶ月前から水茶屋「白滝」の茶酌女として働いている。そして、客であった順吉といい仲になって子を宿してしまう。 15年ぶりに会いに来た父に、これまでの怨みが爆発して冷たく突き放してしまう。結局、再び会うことなく、父の死を知らされることになる。 お清(おきよ) 鬼一の妻。鬼一の7歳年下。本所相生町の貧しい職人の娘で、幼い頃は鬼一の父がやっていた手習い所に通っていたため鬼一とは顔見知り。17歳の時に鬼一と再会し、すでに嫁ぎ先が決まっていたが鬼一との結婚を望んだ。 鬼一が所払いとなった後、河岸場で人足仕事をして娘と姑を養ってきた。そしえて、3年前に船の積み荷が崩れる事故に巻き込まれてしまい、3ヶ月眠ったまま目覚めること亡くなくなった。 鬼一の父 出羽国本荘の出身で、祖父の代からの浪人。士官を求めて江戸に出てきたが願いは果たされず、本所相生町3丁目の裏店で手習所を始めた。それは、鬼一が空腹でない日は一日もなかったと振り返るほど、貧しい暮らしだった。 鬼一の母 下野生まれで、本所の武家屋敷で下女奉公をしていたときに、鬼一の父と結婚した。父が亡くなった後は一人暮らしをしていた。鬼一は、母に会いに行った折りにお清と再会する。鬼一の気持ちを知った母親は、お清がすでに嫁入り先が決まっていることを知らずに話を持って行った。 お秀が10歳の年に亡くなった。その1年ほど前からお清やお秀のことが分からなくなっていたが、鬼一のことはよく話したという。
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