颱風や守宮は常の壁を守りとは? わかりやすく解説

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颱風や守宮は常の壁を守り

作 者
季 語
季 節
秋 
出 典
前 書
 
評 言
 「自然対人間」という図式正しかどうか、また対立的に措くことも含めて、ここでは脇に置くとして、様々な自然現象環境問題という枠組みの中で考えられるようになってから、相当の年月が経つ。水俣病報告されてから50年化学薬品環境の関係がはじめて公に問題視されレイチェル・カーソンの『沈黙の春出版1962年であるからかれこれ半世紀そんなに年月経っているというほどではないが、その悪化度合いは急速過ぎるほど速い何もかもを「環境」として問題俎上にのせることについて多少疑問持ちつつ、それでもどうしてこんな地球になってしまったか。それほど深刻だということであろう
 北緯5~20度の西太平洋上に発生してアジア大陸フィリピン日本など襲来する最大風速毎秒17.2メートル上の熱帯性低気圧(「広辞苑」)と定義がどれほどの意味を持つか分からない最近はかなり大規模なものが、それも早めにやって来る。ちょっと前までは、台風本当に秋の季節であり、梅雨時に少しは上陸してそれほど被害を残すということはあまり考えられなかった。もちろん秋にやって来る台風も相当な数と被害をもたらすのであることに違いないが、季節の幅が広がっているとも言えよう。
 篠原鳳作俳号彦」の時代と言うべきであろう)、昭和8年に、「颱風守宮のまなこ澄める夜を」という同様な内容の句がある。沖縄県宮古中学校赴任中の句。 
 守宮トカゲ似た爬虫類平たくて見た目にもあまり気持ちのいいとは言い難い幼き頃、布団入って上を見上げると天井にひっついて這っている姿をよく見かけたものである子供心にもぎょっとする光景であった。その名前のように「家を守る」と言う南国は常に颱風自然災害脅威さらされている。屋根に重い石を置いたり、石壁周囲固めたりして、いろいろ対策立ててもやって来るものはやって来る。家を守るのが「守宮」の役割なのであろう。そんな日常生活颱風日常中に含まれる生活を、「常の壁」という単純平明にして強固に表現している。大自然対峙する小動物強さ可憐さ、哀れがまた実に見事である。
 ホトトギス俳句から無季俳句新興俳句運動移ってまもなくの句であるが、ホトトギス的生活諷詠から詠まれている。同時期と思われる頃に以下のような颱風」の句がある。特に「よろこぶ血」の句にみられる象徴性は他の句と比較して興味のあるところである。
   颱風倒れ芭蕉海にやる      
   颱風をよろこぶ血あり我がうちに

 篠原鳳作については、平成18年9月前田霧人氏による労作評伝作の季節』が公刊されより詳細解説なされているので、それを参考にしていただければ幸いである。
 以下は前田著をもとにした略記である。
 明治39年1906年鹿児島市生まれ、父は医者で、西南戦争官軍に従う、熱心なキリスト教信者であった大正15年1926年20歳で、東京帝国大学法学部政治学科入学この頃より文学興味持ち高野素十訪ねたりホトトギス句会参加した昭和3年1928年)「ホトトギス2月号に初入選「夜々白く厠の月のありにけり」。昭和5年1930年)「天の川投句始める。無季俳句世界入っていく。昭和6年1931年3月沖縄県宮古中学校赴任公民英語科担当昭和8年1933年同人誌「傘火」参加昭和9年1934年無季俳句連作海の旅」、「しんしんと肺碧きまで海のたび」などを発表し俳壇衝撃与える。10月鹿児島転任俳号を「作」と改める。昭和11年1936年9月心臓麻痺逝去享年30歳
 
評 者
備 考
 


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