青函トンネル内の高速化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 19:31 UTC 版)
「北海道新幹線」の記事における「青函トンネル内の高速化」の解説
2016年3月の新青森駅 - 新函館北斗駅間の開業時点では、開業区間約149 kmのうち半数以上の約82 kmが青函共用走行区間であり、貨物列車とのすれ違いの影響などから最高速度が140 km/hに制限されていた。そのため、国土交通省の青函共用走行区間等高速化検討WGにおいて、平成30(2018)年度末を目標に青函トンネル内の約54 kmで最高速度を160 km/hに引き上げ、遅くとも平成32(2020)年度までにゴールデンウィーク(GW)やお盆、年末年始などの貨物列車の本数が少ない時期に、時間帯を限定したうえで下り線で200 km/hを目標とする方針が定められた。160 km/h化によって3分、200 km/h化によってさらに3分の所要時間の短縮が見込まれている。 この方針を踏まえて、鉄道・運輸機構は2018年9月に160 km/hから210 km/hでの速度向上試験(200 km/h以上は下り線のみ)および160 km/hでの新幹線と在来線のすれ違い試験を行うことを発表した。しかし台風21号および北海道胆振東部地震の影響により、200 km/h以上での走行試験は見送られた。この結果を踏まえ、2019年(平成31年)3月16日のダイヤ改正より、青函トンネル内の最高速度が140 km/hから160 km/hに引き上げられた。これにより、東京駅 - 新函館北斗駅間の所要時間は4分短縮され、最短で3時間58分となった。 鉄道・運輸機構は、2019年(令和元年)9月から10月にかけて青函トンネル内において200 km/hから260 km/hまでの速度向上試験を行うと発表した。 2020年(令和2年)3月には、新青森 - 新函館北斗間の工事の完了時期について、平成31(2019)年度末から「青函共用走行区間における所要の高速走行開始後に実施予定の明かり区間に係る環境対策等の残工事に着手してから概ね3年後」に変更した。 同年9月に、JR北海道と国土交通省は、貨物列車の運行の少ない年末年始の一部列車において、新幹線と貨物列車がすれ違わない時間を設ける時間帯区分方式により、青函トンネル内の最高速度をそれまでより50 km/h引き上げて210 km/hで走行する計画を発表した。具体的には、2020年(令和2年)12月31日から2021年(令和3年)1月4日の始発から15時半頃に青函トンネルを走行する上下各7本について最高速度210 km/hでの営業運転を実施する。これにより、所要時間はさらに3分短縮される。国土交通省は今後、260 km/hへの速度向上の早期実現を目指すとともに、時間帯区分方式の段階的拡大の可能性についても検討を進めていくとした。 しかし、初日となる2020年(令和2年)12月31日の下り当該列車は、従来どおり最高速度160 km/hでの営業運転となった。原因は、青函トンネル内の下り線内において、新幹線の高速走行に支障がない状態を確認する確認車が、建築限界外側の設備を内側にあると誤検知した箇所が9か所発生したことであった。なお、JR北海道が同日に発表した時点では、翌年1月1日 - 1月4日は、当初の計画通り上下各7本が最高速度210 km/hでの営業運転を実施するとしており、予定通り最高速度210 km/hでの営業運転が実施された。 特定時期における最高速度210 km/h運転実施計画 2020年度(令和2年度)12月31日 - 1月4日(年末年始):始発から15時半頃の上下各7本の定期列車。 2021年度(令和3年度)5月3日 - 6日(GW):始発から15時半頃の上下各7本の定期列車および同期間中に運転される下り臨時列車1本。 8月12日 - 16日(お盆):始発から15時半頃の上下各7本の定期列車。 12月31日 - 1月4日(年末年始):始発から15時半頃の上下各7本の定期列車。 2022年度(令和4年度)5月1日、2日、4日 - 6日(GW):始発から15時半頃の上下各7本の定期列車(予定)
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