集積回路によるROMの時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 22:50 UTC 版)
「ブート」の記事における「集積回路によるROMの時代」の解説
以上で述べたような古い時代において、電源投入直後の機能があれこれと話題になったことには、いくつかの原因がある。 古いコンピュータは、 メモリ空間が狭いことが多く、その空間を少しでも自由に使える主記憶のRAMに当てたい ROMにあたる記憶装置が特殊な装置であったりして容量も少なく、また主記憶と同様に読み出しができるものではなかった 等の理由から、この過程を技巧的なブートシーケンスにせざるをえなかったのである。 集積回路によるROM、具体的にはマスクROM、PROM、EPROM、フラッシュメモリの時代になると、以上のような制限はかなり緩和され、ファームウェアとしてメモリ空間の一部にブートプログラムを存在させ、電源投入後やリセット後、プロセッサは単にそのアドレスから実行を始めればよい、というようになった。その結果、一般的なユーザのブート時の関心事は、ハードディスク上のファイルシステムにあるOSを、どうロードして実行するか、というような点に移った。組込みシステムやゲーム機などでは、最初からROMに実行イメージを展開しておき、ブートしたらそのまま目的のシステムが実行される、というような形態もある。 Appleの最初のコンピュータ Apple I (1976) にはPROMチップが搭載されていたため、フロントパネルが不要になった。当時の広告では "No More Switches, No More Lights ... the firmware in PROMS enables you to enter, display and debug programs (all in hex) from the keyboard."(スイッチはいらない、ライトもいらない…PROM内のファームウェアで、キーボードからプログラムを入力し、表示し、デバッグできる)と宣伝している。これはそれ以前の Altair 8800 などに対比してアピールしているのである。 Atari ST などのホームコンピュータは、電源を入れるとROM上のOSがすぐさま起動する。そのため、二次記憶装置からOSをロードする機能が省かれている。システムのカスタマイズやアクセサリ、サポートソフトウェアなどはフロッピードライブからブート時に自動的にロードされる。電源投入から一定時間フロッピーがセットされない場合やフロッピー内に追加コンポーネントが見つからない場合、それらのロード処理はタイムアウトする。これによりブランクディスク挿入を防ぐ。
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