重量規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 05:55 UTC 版)
これまで日本国内での海上コンテナの陸上輸送は、コンテナ本体の重量とコンテナに積載できる貨物の最大積載重量とを合計した『総重量』として、道路交通法上の最大規制値が20 ft(フィート)コンテナでは、20,320 kg(キログラム)及び、40 ftコンテナでは、24,000 kgまでのものに限られていた。これは当時の世界的な最大積載基準値を大きく下回っていたために、世界基準に準じて日本国外から輸入されて来た、積荷を満載したコンテナは、そのままでは日本国内を陸送する事ができなかった。このために場合によっては、国内基準に合わせるために輸出元の国内で事前に積荷を減らしたり、コンテナを陸揚げした港の港湾施設内で一旦開封して、国内基準に合うように別の複数個のコンテナへ振り分けたり、また少量の場合は、別便のトラックへ振り分けるなどの対策が行われて来た。これらの作業には膨大な手間と人件費のほか、追加するコンテナの使用料や増車分のトレーラーの運送料などが発生し、深刻な物流弊害が起こっていた。このように国土の狭い日本特有の交通事情などの弊害が改善さけなければ、本来のコンテナ輸送の目的である、陸海一貫輸送が円滑にはできない、あるいは追加の諸経費を最終的には積載貨物に上乗せされ、結果的に海外商品の高騰を招くなど、物流関係者や荷主からの不満が強かった。 これら長い間の根強い不満に対して政府は、1995年(平成7年)3月に閣議決定された規制緩和推進計画によって、認定を受けた3軸仕様のコンテナ輸送専用シャーシと、トラクタの組み合わせによる輸送がようやく認められるようになった。この規制緩和により、最大規制値は20 ftで24,000 kg、40 ftコンテナで30,480 kgまでに引き上げられ、当時の世界的な最大積載基準値での輸送が合法となった。これを期に海上コンテナの輸送環境が大きく改善し、例えば国内産と中国などからの安い輸入商品との価格競争でも有利になるなど、その経済的波及効果は輸出入を問わず飛躍的に広がって今日に至っている。 なお、認定を受けた3軸仕様のコンテナ輸送専用シャーシと、トラクタへ切り替える輸送業者の負担を考慮し、既存の車両に必要な構造変更を施したものについては、2008年(平成20年)3月末まで使用の継続が認められていた。 また特記事項として、20 ftコンテナは、ほとんどが自重が約3,000 kg(汎用コンテナ)から3,500 kg(冷凍コンテナ等)未満のため、通常の流通過程で頻繁に発生している空コンテナとしての回送や、中古として空コンテナの売買に伴う輸送では、中型自動車免許で運転できる4t(トン)積み程度の、単体構造の中型トラックでも可能である。ただし、コンテナに積載した貨物重量を問わず20 ft以上の海上コンテナは、すべてトレーラーのみでの輸送が法律で規定されている。なお、例外として1969年から始まった国鉄による日本国内専用の鉄道用20 ftコンテナ( C900形他 )に関しては、総重量が12.3t以下に規制されていたので、当時から10t級トラック単体での輸送は可能であった。
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