遺産分割に関する調停 (日本)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:00 UTC 版)
「家事調停」の記事における「遺産分割に関する調停 (日本)」の解説
遺産分割に関する家事紛争は増加傾向にある。最高裁判所事務総局「司法統計家事事件編」の各年度版第3表、第4表によると、「遺産の分割に関する処分など」を目的とする家事審判事件及び家事調停事件の新受件数合計は次のとおり推移している。 西 暦 2000 2005 2010 2015 2017 家事審判 1,748 1,869 2,125 2 012 1,972 家事調停 9,162 10,130 11,472 12 975 14,044 合 計 10,910 11,999 13,597 14,987 16,016 この時期の日本では、ベビーブーム世代が老年期に達し、母集団となる死亡者数(相続の発生件数)が増加している。また、権利意識の高揚により、伝統的な長男相続に納得しない兄弟姉妹が増加し、主張も硬化する傾向がある。少子高齢化の進展により兄弟姉妹相続が増加していることに加え、長寿化により被相続人の年齢が(したがって相続人の年齢も)高齢化したことに伴い、代襲相続(本来の相続人が被相続人より先に死亡したときは、その相続人の子が代わりに相続人となる制度)や再転相続(被相続人の死亡後、遺産分割が完了する前に相続人が死亡し、死亡相続人の地位を死亡相続人の相続人が承継すること)が発生し、相互に縁の薄い多数の相続人が遺産分割の当事者になる事案が増加している。さらに、人口の都市部への集中に伴い、相続人間で被相続人の世話の分担に差が生じやすくなり、法定相続分の取得を主張する都市部居住相続人に対する反感が芽生えやすくなっているし、被相続人自身が都市部住民である事案が増加したことに伴い、遺産不動産が高価だが市場性は低い事案も増加している(遺産に十分な金融資産が含まれるか、相続人の中に十分な金融資産を有する者がいないと、調整が困難になる。)。こうした事情が絡み合って、遺産を巡る紛争自体が増加し、個々の紛争もますます解決困難になっていると言われている。 遺産分割に関する調停では、通常、①相続人の範囲、②有効な遺言の有無及び効力の範囲、③遺産の範囲、④遺産の評価、⑤寄与分(被相続人の財産の維持増殖に特別な貢献をしたこと)、特別受益(遺産の先渡しに当たる贈与や遺贈)の有無及び額、⑥遺産の分割方法が問題となる。
※この「遺産分割に関する調停 (日本)」の解説は、「家事調停」の解説の一部です。
「遺産分割に関する調停 (日本)」を含む「家事調停」の記事については、「家事調停」の概要を参照ください。
- 遺産分割に関する調停のページへのリンク