遺伝子解析の結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:48 UTC 版)
以下にソメイヨシノの遺伝子解析の研究成果をあげる。 1995年にはDNAフィンガープリント法で遺伝子の解析が試みられ、ソメイヨシノがクローンであること、遺伝的にエドヒガンとオオシマザクラを親に持つことが明らかとなった。 2007年3月、千葉大学の中村郁郎・静岡大学の太田智などの研究グループは、ソメイヨシノが「コマツオトメのようなエドヒガン系品種を母親に、オオシマザクラを父親として起源したことを示唆している」と発表した。(関連論文)。 2012年に千葉大の研究チームは、北関東のエドヒガンがソメイヨシノの母親と推定され、コマツオトメはソメイヨシノの母親ではなく近縁にとどまることを園芸学会で発表した。これは、千葉大学園芸学部の国分尚准や安藤敏夫の研究チームが、江戸時代から生えているエドヒガン系の天然記念物級の古木を青森県から鹿児島県まで523本探して、新たに葉緑体DNAを解析したところ、ソメイヨシノのDNAと一致する古木が、群馬県で4本、栃木県、山梨県、長野県、兵庫県、徳島県の各県で1本ずつ見つかったことを受けてである。また国分は、各地から桜の苗が染井村の植木屋に集まりソメイヨシノができた可能性を話した。今後、細胞核DNAのS遺伝子等の解析も併せて総合的に判断することで、母親の起源が特定される可能性があるという。 2014年1月に首都大学東京の研究者らは、DNAフィンガープリント法より精度が高い核SSR(シンプル・シーケンス・リピート)法を利用したDNA解析によって、日本のサクラの栽培品種の起源を明らかにし、その中で、ソメイヨシノの交雑割合が、エドヒガン47%、オオシマザクラ37%、ヤマザクラ11%、その他5%であることを示した。 加藤の共同研究者である勝木俊雄(森林総合研究所)は、ソメイヨシノの起源として、ソメイヨシノの片方の親はエドヒガン、もう片方の親はオオシマザクラとヤマザクラが交雑したものではないかと推測している。つまり、ソメイヨシノ = (オオシマザクラ×ヤマザクラ) × エドヒガンとの推測である。なお、オオシマザクラとヤマザクラの交雑種は人里でよく見られるので、ソメイヨシノは全くの自然から生まれたものではないとも推測している。 2017年1月には森林総合研究所と岡山理科大学の共同研究により、改めてソメイヨシノ等の4種の種間雑種のサクラの遺伝情報と学名が整理され、エドヒガンとオオシマザクラを親とするソメイヨシノは、エドヒガンとオオヤマザクラを親とする王桜(エイシュウザクラ)とは異なる種であることが発表され(後述)、この詳細は2016年12月にTaxon誌でオンライン公開された。さらに、2017年に森林総合研究所と岐阜大学の共同研究によりソメイヨシノは1回の種間交雑による雑種では無く、より複雑な交雑に由来するとの説が発表された。 2019年4月1日、かずさDNA研究所、島根大学、京都府立大学が共同でソメイヨシノのゲノム情報(全遺伝情報)の解読を完了したことを発表し、通説通りソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラを祖先に持つことが判明した。またこの祖先の2種は552万年前に異種に分かれ、百数十年前に交雑してソメイヨシノが誕生したと考えられるという。
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