遺伝子調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:43 UTC 版)
「ハプログループD1a2a (Y染色体)」および「Y染色体ハプログループの分布 (東アジア)」を参照 一塩基多型(SNP)に基づく遺伝子調査により、アイヌと琉球人は類似性が非常に高い集団であることがわかっている。また、アイヌの3分の1以上に、本土和人/本土日本人との遺伝子交流が認められている。東アジア大陸部の他の30人類集団のデータとあわせて比較しても、日本列島人(アイヌ、琉球人、和人)の特異性が示されている。これは、現在の東アジア大陸部の主要な集団とは異なる遺伝的構成、おそらく縄文人の系統を日本列島人が濃淡はあるものの受け継いできたことを示唆している。アイヌ集団にはニヴフなど和人以外の集団との遺伝子交流も認められ、これら複数の交流がアイヌ集団の遺伝的特異性をもたらしたとされる。 アイヌ人の父系系譜を示すY染色体ハプログループの構成比については、日本列島固有のハプログループD1a2aが87.5%(うちD1a2a*が13/16=81.25%、D1a2a1aが1/6=6.25%)と大半を占める。ハプログループD1a2aは日本列島以外ではほぼ確認されず、縄文人特有の系統であったと考えられている。これは琉球人で50%弱、本土日本人で30%ほどであるため、アイヌ人は現代日本人の中では縄文人の遺伝子を最も色濃く引き継いでいると言える。他に北方シベリアから樺太を経て南下してきたと考えられるC2が2/16=12.5%と報告されている。 母系を示すmtDNAハプログループについては、51人の調査で、ハプログループYが21.6%、ハプログループDが17.6%、ハプログループM7aが15.7%、ハプログループG1が15.7%などとなっている。 アイヌにはATLのレトロウイルス(HTLV-1)が日本列島内でも高頻度で観察される事から、縄文人の血が濃く残っていると考えられる。 日本人の起源としては「二重構造モデル」がかねてから主流であるが、総合研究大学院大学と東京大学の遺伝子調査により、二重構造モデルの予言した通りにアイヌ人は本土日本人より琉球人と近いことが裏付けられた。
※この「遺伝子調査」の解説は、「アイヌ」の解説の一部です。
「遺伝子調査」を含む「アイヌ」の記事については、「アイヌ」の概要を参照ください。
- 遺伝子調査のページへのリンク