通信信号に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 20:27 UTC 版)
「電力線搬送通信」の記事における「通信信号に関する問題」の解説
通信速度低下の要因とその対策に関わる問題点各機器が同一帯域内を利用するバス型トポロジーであるため、無線LANと同様に、同一帯域内に沢山の機器を接続すると通信衝突(コリジョン)が起こる可能性が増加し、これを回避するための平均遅延時間、つまりデータ通信ができない時間が上昇する(CSMA/CA参照)。 また、電力線には様々な家電機器を接続するため、この稼働状況(ドライヤー、掃除機等のモーターを使用する機器や携帯機器の充電器等)によっては、PLC機器の通信に悪影響を及ぼし、通信速度低下の要因となる場合があり、仕様上の最大実効通信速度を得るのは難しい。メーカーでは、これらの機器をコンセントに接続する際は、ノイズフィルターを使用することを推奨している。 PLC機器は通信速度の低下を理由として、雷サージ対策・PLC非対応ノイズフィルター付テーブルタップ経由での接続、無停電電源装置 (UPS) 経由での接続を推奨しておらず、PLC機器を直接コンセントへ接続することを推奨している。このため、PLC機器にバッテリーが搭載されていない場合は瞬間停電時の通信維持対策が取れない場合があるほか、PLC機器への落雷対策が取れず、不都合が生じる場合がある。 また、家庭内電力線(単相3線式100V配線)はL1相・L2相からなるため、L1相に接続された電力線(コンセント)とL2相に接続された電力線(コンセント)間の(異相間)通信の場合は、同相間の通信に比べて信号が減衰し易い性質があり、この場合、仕様上の最大実効通信速度を得るのは困難であり、また、別系統の配電盤を利用している等のケースの場合、状況によっては通信が出来ない可能性がある。 転送速度と使用環境転送速度を低下させる要因異なる規格のPLCを使用する 交流配線の異相側につなぐ ノイズ・フィルター付きテーブルタップにモデムを接続する ノイズの発生する機器を同じ配線で使うドライヤー、調光機能付き照明、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ インピーダンスが低いためにPLCの信号を吸い取る機器を同じ配線で使う携帯電話充電器 精密機器・医療機器に対する誤動作への懸念PLCのコモンモードノイズにより、医療器具や精密機械への致命的な誤作動を生じさせる可能性が懸念されており、特に医療機器(心臓ペースメーカーや、心肺維持装置)への悪影響が生じるリスクは皆無ではないことから、厚生労働省が安全性への通達を出している PLC同士の相互干渉PLCの発生する信号は近距離ならば配電盤を越えて伝わるため、集合住宅内で使用した場合、配電状況によっては近隣の部屋に影響を及ぼす可能性がある。この際、相互に影響を及ぼす範囲の部屋で複数系統(同方式、異方式を問わない)PLC機器を使用した場合、帯域を相互に食い合うために速度が低下する可能性が指摘されている。特に異なる方式のPLC機器を用いる場合、お互いにノイズ源となるため、通信速度が落ちる、あるいは、通信が不能になることが指摘されており、実際、製造メーカーの広告においても同種の注意がなされている場合がある。
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