輸送手段、装備、物資
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 14:25 UTC 版)
「アムンセンの南極点遠征」の記事における「輸送手段、装備、物資」の解説
アムンセンは、イギリスの探検家が犬を明らかに嫌っていることを理解できなかった。「犬が主人を理解できないということがあるだろうか? あるいは犬を理解しないのが主人だろうか?」と記していた。南極に行くと決断した後、アムンセンは100匹のノースグリーンランド橇用犬を発注したが、それは入手できる最良で最強のものだった。荷物の運搬に用いられる動物としての耐久性以外に、他の犬に食べさせることができ、極圏探検隊の人間に新鮮な肉を供給できた。 隊員のスキー用ブーツはアムンセンが特別にデザインしたものであり、完璧なものを探して2年間のテストと修正を経て作られていた。極圏探検用の衣類はノーザングリーンランド産のシールスキンでできたスーツが入っており、トナカイの皮、オオカミの皮、バーバリーの布(ギャバジン)でできたネットシリク・イヌイットのスタイルに倣ったものだった。橇はノルウェー産のセイヨウトネリコ材を枠に、アメリカ・ヒッコリー材の滑走部に鉄を被せたものだった。スキー板もヒッコリー製であり、クレバスに滑落する可能性を減らすために特別に長かった。テントは「これまで使われた中でも最強で最も実用的である」ものであり、組み込みの床があり、柱は1本で良かった。行軍中の料理用には、ナンセンが工夫した特別調理器よりもスウェーデン製のプリマス・ストーブを選んだ。ナンセンの調理器は運ぶのにスペースを取りすぎると考えたからだった。 ベルギカでの経験から、アムンセンは壊血病の危険性に気付いていた。この病気の本当の原因はビタミンCの欠乏だったが、当時はそれが分かっておらず、一般には新鮮な肉を食べることで対応できると考えられていた。その危険性を減らすためにアムンセンは橇で運ぶ食料に加えて、アザラシの肉を定期的に摂る計画を立てた。特別な種類のペミカン(インディアンの保存食)も注文しており、野菜とオートミールが入っていた。「それより刺激があり、栄養があり、食欲をそそる食料は見つけるのが不可能だっただろう」と記していた。物資にはワインや蒸留酒が大量に入っており、薬用、祝祭用、さらに特別用途のためだった。アムンセンはベルギカの航海中に士気が落ちたことを記憶しており、約3,000冊の本、蓄音器、大量のレコード、幾つかの楽器を用意するなど余暇にも気配りした。
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