軍服に関する各国の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 05:00 UTC 版)
軍服は一般社会に於ける服飾の流行と戦闘形態の変化に対応するための実用面での要求によって変遷してきた。そのため、各時代に於ける軍服はその時代に文化の中心となっていた国や新しい軍事制度を確立した国が他の国へ影響を与えて来たが、軍事制度に関する影響と服装についての影響が同時であるとは限らない。また、それらの服装が必ずしもそれらの国で生まれたものではなく、他国(小国や少数民族の場合もある)の服装が実用性や経済性等の理由から取り入れられている例も多く見られる。 海軍は将校の制服が制定されたのが18世紀中頃であり、水兵は19世紀中頃であった。そのため、各国がほぼ共通して当時のイギリスの影響を受けている(「海軍制服概説」参照)。20世紀に入って作られた軍種である空軍には国によるデザインの差が比較的少ない(「空軍制服概説」参照)。また、戦闘服装は装飾性を排し機能性を重視した結果、似たようなデザインとなっている。一方、陸軍の礼服(概ね19世紀〜20世紀初頭までの軍服が踏襲されている)および勤務服には軍服のデザイン(服全体の仕立て、生地の色、帽章、襟章、階級章等)における国ごとの伝統や個性、或いは複数国間の影響関係が顕著に現れている。 フランスは17世紀の近代軍制導入から19世紀中半まで陸軍の制度について度々他国の手本となっており、ヨーロッパ文化の中心でもあった。イギリスは18世紀後半以降、男性の服飾に関して世界をリードする存在である。ドイツ陸軍の制度も17世紀から20世紀前半にかけて周辺諸国に影響を与えており、特に19世紀末から20世紀前半には多くの国に影響を与えた。そして、20世紀半ば以降はアメリカとソ連が軍事制度の手本であり、社会・文化面でも他の国に影響を与える存在でもある。そのような訳で、軍服に関しては以下のような影響が見られる。 イギリス(海軍が世界各国に影響。陸軍・空軍・警察が旧植民地関係。軍服を含む現代の服装体系を確立。) フランス(旧植民地関係、アメリカ、旧日本軍。) ドイツ(枢軸国関係、イギリス及びロシア) アメリカ(冷戦時代に自由主義陣営に影響) ロシア(ソ連)(汎スラブ主義の影響、冷戦時代に社会主義陣営に影響、ソ連解体後に成立した諸国) しかし、現代に至るまでの軍服を含む服飾の変遷にはこれらの国だけではなく、様々な国や民族の服装が複雑に影響し合っている。以下に17世紀以降の陸軍を中心とした軍服に影響を与えた国等を、影響を与えるようになった年代順に挙げる。
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