街道の諸ルート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 05:58 UTC 版)
小浜と京都を結ぶ経路は幾通りもあり、それらはすべて鯖街道とよんでいた。最もよく利用されたのが小浜から熊川宿(現:福井県若狭町)・朽木村(現:滋賀県高島市)を経て、京都の出町柳に至る若狭街道で、一般に言われる鯖街道はこの経路のことを指している。ここでは、主な街道やルートを東側から順に挙げる。なお、小浜を起点とすることから、「小浜街道」と総括・混同されることもある。 琵琶湖経由のルート 小浜から琵琶湖北西岸の今津(現・高島市今津町)へ抜け、琵琶湖上の水運を経由して大津まで行き、京都へ至るルート。古代は勝野(現・高島市勝野)や木津(現・高島市新旭町)などが、鎌倉時代以降は今津を主な水陸中継地とした。のち、豊臣秀吉が若狭往還の荷物をすべて今津経由とするなどの庇護を受けたほか、若狭街道が朽木方面へ折れる道をさらに直進し今津へ至る道(九里半街道)が整備され、伏見城築城のための資材輸送にも利用された。なお、湖上から京都への陸揚げは山中越を介して最短となる坂本が利用されたが、のちに秀吉が伏見や大坂への利便性が高い大津を保護し、坂本などから移した船をあわせて大津百艘船を組織した。 西近江路 今津から琵琶湖の西岸を陸路で辿るルート。おおむね現在の国道161号に該当する)。 若狭街道・敦賀街道(花折峠・大原ルート) 現在の国道27号(丹後街道)→国道303号→国道367号に相当。小浜から保坂(現・高島市今津町保坂)で南に折れ、比良山地の西側の谷沿いに進み、途中峠を越え京都府に入ると、大原から高野川で舟運となる。引き続き陸送の場合、大原より現在の京都府道108号草生上野線から京都府道40号下鴨静原大原線へと進み、市原で鞍馬街道(京都府道38号京都広河原美山線)に合流する。小浜 - 京都間の陸送最速ルート。 鞍馬街道(根来・針畑ルート) 小浜から遠敷川沿い(現在の福井県道35号久坂中ノ畑小浜線)を上り、根来坂峠を越え小入谷(現在の高島市朽木小入谷)から針畑川沿い(現在の滋賀県道781号)を経て、経ヶ岳を越えて京都府へ入り、京都府道110号久多広河原線沿いの久多で山道へ分け入り、峰床山~尾越~大見~花脊峠へ。京都府道38号京都広河原美山線で鞍馬を抜け洛中に至る。久多から大悲山を経て京北に入り桂川を渡り、芹生峠を越えて京都府道361号上黒田貴船線で貴船・鞍馬に至る脇道もある。 小浜 - 京都間の最短ルートであることから良く利用されたが、丹波高地を縦断するために道は険しい。昭和初期以降は利用が廃れたため根来坂峠が廃道となっていたが、近年になって観光や地域文化振興などの観点から古道と数度交差しつつ、古来の根来坂峠とは少し離れた新たな峠であるおにゅう峠を通る林道が開かれており、ほぼ全面舗装されている。福井側では鞍馬街道ではなく、「小浜道」と呼ぶこともある。 雲ケ畑街道 小浜を発ちおおい町内の国道162号で名田庄村から五波峠か権蔵坂を越え京都府に入り、現在の南丹市芦生から佐々里峠 - 廃村八丁 - 京北を経て、北山(雲ケ畑)に至る。現在の京都府道370号佐々里井戸線と京都府道61号京都京北線に相当。鞍馬街道同様に山越えが多く、道は険しい。 小浜街道 名田庄から八ヶ峰の知井坂を越え、現在の京都府道369号八原田上弓削線を経て深見峠で一旦国道162号に合流、狭間峠から京都府道366号塔下弓削線を抜け、山国神社付近で桂川を渡り、天童山 - 岩屋山を越え現在の京都府道107号雲ヶ畑下杉坂線・鷹峯街道より洛中へ至る。福井県側では南川、京都府側では由良川が開削した沢路を通り、丹波高地の縁辺部を迂回するため、やや遠回りだが鯖街道成立前から利用されてきた古道。 高浜街道・周山街道(西の鯖街道) 小浜でなく高浜町を起点とし、福井県道16号坂本高浜線から頭巾山を越え、京都側では周山街道と呼ばれる国道162号を通る(一部区間は小浜街道と共通)。最も西側のルートであることから「西の鯖街道」と呼ばれる。 ※ 小浜街道・雲ケ畑街道・周山街道の京都府側は、2016年(平成28年)に制定された京都丹波高原国定公園における自然と人間の共生を示す文化的要素として顕彰されている。
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