薬草としての利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/12 09:52 UTC 版)
「チョウセンアサガオ属」の記事における「薬草としての利用」の解説
その性質を用いて、全身麻酔や自白剤として用いられたことがある。古くは、インドではダツラを用いて相手を酩酊状態にしたうえで強盗などを働く、ダツレアスという犯罪組織が存在した。西洋中世の魔法使いの世界では、無意識のうちに抑圧されている深層心理の世界を探索できる性質が着目され、人格形成に有益であるとして使用されていた。 スコポラミンには緩和な中枢抑制作用があり、1804年に華岡青洲がこの植物から通仙散と命名した麻酔薬を作り、世界初とも言われる全身麻酔下で、乳癌の摘出手術をしたことで有名である。しかし青洲の妻は麻酔薬を完成させる過程で失明している。多量に摂取すると、意識喪失、呼吸停止を起こし死亡することもあるが、消化機能の抑制のため致死量を摂取するに至ることはまず無いといわれている。経口致死量は4-5gとされている。 生薬としてはハシリドコロの根(ロート根)やベラドンナの根が使われ、チョウセンアサガオはあまり用いられない。根をゴボウ、葉をモロヘイヤ、つぼみをオクラやシシトウ、種子をゴマと間違えて食べて食中毒になることがある。根を水に漬けておくだけでも成分が溶出して、その液体を飲んで食中毒が発生することがある。その花を活けた花びんの水を子供が誤って飲む危険性も指摘されている。また全身の粘膜からも成分が摂取されるので、たとえば草の汁が飛び散って目に入ったり、汁が付着した手で目を擦るなどした場合にも、散瞳や調節障害などが起こる。チョウセンアサガオに接ぎ木をしたナスの実を食べて記憶障害を伴う食中毒を起こした事例(2006年)もある。また、1980年代に、チョウセンアサガオのアルカロイドの生理作用を麻薬的な酩酊・多幸感作用を持つものと誤解した中学生が、友人等と炊いた白米に種子を降りかけて摂取し、集団中毒事件を起こしたこともあった。日本テレビの伊東家の食卓でもヒルガオの調理法を紹介する際に類似の危険を警告しなかったことから主婦が中毒を起こした例がある。
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