薬草を起源とするもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/31 05:57 UTC 版)
先史時代には薬草による麻酔が利用されていた。アヘンと大麻の二つが最も重要な薬草として利用されていた。それらは経口で摂取するか、燃やしてその煙を吸い込むことで利用された。アルコールも最も古くから知られている鎮痛剤で(血管を拡張させる作用の存在は知られていなかった)、古代メソポタミアで利用された。南アメリカではチョウセンアサガオから抽出されたスコポラミンがコカのように用いられた。インカ文明ではコカと酒を麻酔に使用した穿頭術が行われていた。古代エジプトでは、マンドレークの果実から抽出された物が使用され、中世ヨーロッパではそれにヒヨス(ヒヨスチアミン)などのトロパンアルカロイドを多く含むナス科植物を組み合わせて使用した。中国では後漢末期、華佗が「麻沸散」という麻酔を使い、手術を行ったと『三國志』に記録されている。麻沸散の成分は不明だが、これも大麻を使ったものではないかといわれている。 日本においては、江戸時代に外科医であった華岡青洲が曼陀羅華の実(チョウセンアサガオ)、草烏頭(トリカブト)、当帰(トウキ)などの6種類の薬草に麻酔効果があることを発見し、実母の於継と妻の加恵の実験協力と犠牲の上に全身麻酔薬「通仙散」を完成させた。文化元年(1804年)10月13日、華岡青洲は経口の通仙散を用いた全身麻酔下での手術により、大和国宇智郡五條村の藍屋勘の乳癌摘出に成功している。はっきりした記録が残っているものでは世界最初の麻酔手術である。
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