船長の行動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 06:14 UTC 版)
「コスタ・コンコルディアの座礁事故」の記事における「船長の行動」の解説
事故当時、船長のフランチェスコ・スケッティーノは、ワイン片手に若い女性と食事中であった。また、「船長は乗客らより先にジリオ島に避難しているのを沿岸警備隊関係者に見とがめられ、船に戻るよう促されていた」と地元メディアが伝え、緊急事態にもかかわらず、スケッティーノが船を放棄して先に避難していたという疑いが強まっている。これは、海洋規則の違反にあたる。また、国外へ逃亡しようとした疑いもある。 これに対してスケッティーノ側は、「私たちは最後に船を離れた」と反論をし、さらに、「犠牲者が出たことは残念だが、いかりを下ろすなど自分の執った措置によって多くの命が救われた」とも語っていたが、後に乗客を置き去りにしたことを認め、「座礁した船の上で転び、偶然、救命ボートの中に落ちた」と主張した。スケッティーノは1月14日夜、地元検察により過失致死や操船放棄などの容疑で身柄拘束される。スケッティーノには、最高で12年の禁錮刑が科される可能性が指摘されている。また、船の甲板で、スケッティーノが飲酒をしていた疑惑も出た。 1月17日には、スケッティーノとリボルノ港湾監督事務所との交信記録が公開された。 港湾当局:「今どこにいるのか、逃げ出したのか」船長 :「私と司令官は…その…います」港湾当局:「乗客を置き去りにして救命ボートに乗ったんだな」港湾当局:「いいか、あんたは助かったかもしれない。だが状況は悪化している。後悔するぞ。船に戻れバカ野郎!」船長 :「ちょっと待って下さい」港湾当局:「船に戻ると約束して下さい」港湾当局:「船で指揮をとれ! 拒否するのか」「これは命令だ!」船長 :「真っ暗で何も見えません」港湾当局:「だからどうしろというんだ? 暗いから家に帰りたいとでも?」港湾当局:「船に戻って、何ができて、何人が船にいるか、何が必要か報告しなさい、今すぐにだ!」港湾当局:「何をしている?救助を放棄するつもりか?」港湾当局:「船長、君は助かったかもしれないが、この責任はちゃんととってもらうからな」船長 :「ああ…そんな……。死人は何人出ているんだ」 港湾当局:「こちらではわからない。君が知っていなければならないことだぞ」 — テレビ朝日 AFP BB News J-CAST 産経新聞 1月19日には、スケッティーノとリボルノ港湾監督事務所とが最初に行っていた交信も公開された。 港湾当局:「何か問題が起きたのか。救援は必要か」船長 :「停電が起き、状況を確認中」と繰り返す港湾当局:「(乗客に)救命具を着用させているというのは事実か」 船長 :「繰り返す、状況を確認中だ」 — 日本経済新聞 1月19日には、スケッティーノを擁護するモルドバとルーマニアの二重国籍を持つバレリーナのドミニカ・チョモルタンという女性が現れ、「船長は、会社でも最高の船長だ。あらゆる手を尽くして乗客の命を救った英雄だ。乗員も皆プロらしく働き、乗客を救った」と語った。しかし、事故当時の乗員名簿にチョモルタンの名前は無く、メディアなどは、スケッティーノの個人的な招待客と見ている。チョモルタンは、自分の25歳の誕生日を祝うために、乗船したという。チョモルタンは、11時50分ごろ船から避難したとき、「まだ甲板で作業するスケッティーノ船長を見た」と証言した。2013年10月29日、事故の公判にチョモルタンが出席し、スケッティーノとは愛人関係にあることを認めた。また、料金も支払っていないと証言した。 1月19日、コスタ・クルーズはスケッティーノを停職処分とした。 船長は、2002年からセーフティーオフィサーとして入社し、その後スタッフキャプテンを経て、2006年にキャプテンに昇格しており、加えて、乗務員が受ける定期テストを全てパスしていた。目立ちたがり屋で、乗組員と性格が合わなかった。事故当時52歳であった。
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