舞台での最期とは? わかりやすく解説

舞台での最期

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 08:46 UTC 版)

モリエール」の記事における「舞台での最期」の解説

1673年2月10日モリエール白鳥の歌となる『病は気から』の初演開始された。初日から興行成績好調であったが、それとは対照的にモリエール体調取り返しつかない状態にあった。すでに死期近く、咳も日を追うごとに激しくなっていった2月17日4回目公演が行われる日であった。この日も大勢の客が観劇来ている。ところがこの日、モリエールはいつもに増してから元気がなかった。ジャン=レオノール・グリマレによれば、彼はこの日の公演前、妻であるアルマンド・ベジャール可愛がっていた愛弟子ミシェル・バロンをそばに呼び寄せて、以下のように述懐したという。 私の生活に苦しみ喜び混じり合っている間は、自分幸福だ考えてきた。だが今日は、苦痛打ちのめされたような感じがする。満足や和らぎ期待できる時が来るとはどうしても思えない。こうなってはもう諦める以外にない。悩み悲しみが、息もつかず攻め立てて、私はこれ以上我慢できなくなった人間というものは死ぬ前にどんなに苦しむことだろう。ともかく、私にはよくわかっている。自分死期が近いのだということが。 アルマンドバロン彼の顔色悪さ驚いて出演見合わせるように勧めたが、「私が出演しなかったら劇場働いている50人の人たちはどうなるのだ…」として、モリエール取り合わなかった。コンデ大公外国の要人臨席ていたし劇団員劇場使用人たち路頭迷わせるわけにはいかない考えたであろう結局出演強行したモリエールだったが、演技最中激しい咳の発作襲われ、それを隠そうとして彼の顔は苦しそうに痙攣起こした観客もそれに気づいて息を呑んだという。舞台無事に終えると、モリエール部屋着に身を包みバロン楽屋休みにきた。彼の手は氷のように冷たく、寒いと訴えたので、急いでリシュリュー街の自宅担ぎ込まれた。バロンがそれに付き添っていたが、モリエール自宅に着くと、バロン勧めた熱いスープではなくひとかけらパンパルメザンチーズ欲しがった。そうして横になっていると、再び痙攣襲われた。痰を吐こうとしてもがき苦しむうちに、大量に吐血しはじめた。モリエールそばにいるバロン向かって次のように言ったという。 何も怖がることはない。私はこれまでにもっとひどい喀血をしたこともあるのだから。さあ、アルマンド呼んできてくれないか。 こうしてバロンアルマンド呼び行ったモリエール自宅があるリシュリュー街の建物には、たまたまアヌシーから義捐金集めに来た2人修道女泊まっていたが、彼女たち物音聞きつけて、モリエール自宅駆け込んできた。モリエール苦しみながらも、最期秘蹟受けたい彼女たち告げたモリエール下男下女たちは主人容態の急変ならびに彼が最期秘蹟受けたがっていることを知ってそれぞれ教区司祭であるランファンルショー呼び行ったが、相手モリエールだと知って秘蹟授けることを拒絶した一時間以上経って、ようやく秘蹟授けることを承諾した司祭ペイザンを連れてきたときにはモリエール修道女たちに看取られて、息を引き取っていたのであった享年51歳。奇しくもマドレーヌ・ベジャール亡くなったちょうど1年後のことであった。 この当時は、俳優になった瞬間カトリック教会から破門宣告され教会からの異端扱い始まった善良なカトリック教徒に戻るには、司祭の前で俳優業棄てる旨を宣告しなければならなかった。そのような宣誓をする間もなく息を引き取ったモリエールは、扱いとしては異端のままこの世去ったのである。そのため、カトリック墓地埋葬する許可得られず、結局未亡人アルマンド・ベジャールルイ14世請願することで、ようやく埋葬許可されのだったモリエール死後劇団座長だけでなく、本拠地パレ・ロワイヤル使用権をも失い途方もない打撃受けていた。アルマンドは、モリエール全幅の信頼置いていたラ・グランジュとともに火事劇場失ってほとんど解散状態にあったマレー劇場俳優吸収し、彼らを率いてゲネゴー劇場移った1680年国王の命を受けて彼らは、かつてライバル関係にあったブルゴーニュ座と合併し、こうしてコメディ・フランセーズ創設されのであるモリエールはその初代名誉座長据えられた。現在においてもコメディ・フランセーズは「モリエールの家」と呼ばれている。

※この「舞台での最期」の解説は、「モリエール」の解説の一部です。
「舞台での最期」を含む「モリエール」の記事については、「モリエール」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「舞台での最期」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「舞台での最期」の関連用語

舞台での最期のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



舞台での最期のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのモリエール (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS