罪と罰、贖宥状の効能とは? わかりやすく解説

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罪と罰、贖宥状の効能

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 05:27 UTC 版)

レオ10世による贖宥状」の記事における「罪と罰、贖宥状の効能」の解説

もともと贖宥状による効果というのは、かなり限定的なのだった日本語文献では贖宥状を「免罪符」と表現することもあるが、カトリックの本来の教理には「免罪」符は存在しない免じられるのは「罰」であり、「罪」が無かったことになるわけではない贖宥状によって赦し得られるのは、あくまでも教会信徒課す罰の範囲限られていた。 カトリック教理にしたがうと、人は誰しも現世生きていくことによって罪を犯す。その罪に対して神による永遠の罰が与えられる。しかしこれに対して悔悛の秘蹟が行われる。すなわち、聖職者に対して告解(罪を告白)を行い懺悔悔い改める)する。すると神の現世での代理者である聖職者教会)を通じて神の恩寵与えられ、罪が赦免される帰結として、受けるはずだった神の永遠の罰が回避される。 ただしこの「赦免」の範囲あくまでも神の罰についてであり、地上における現世での罪の結果消えわけではない。そして、告解えすれば何でも赦されるようだと、人は平気でいくらでも罪を重ねるようになるかもしれない。そのためこの「罪の赦し」を授け代償として、教会聖職者)は信徒「罰」相当する償い行為課す「罰」は、具体的には深い祈り痛悔のようなものから、巡礼断食寄付などの敬虔な現世的な善行の形をとるものまでさまざまであった。これらの「罰」は、現世における犯罪被害者対す弁償補償という性格備えており、社会維持する役割担っていた。そのため、告解とそれに対する罰の内容は、通常告白者と聖職者の間だけの秘密だったが、犯罪行為によって損害受けた被害者対す賠償が伴う場合には公開されることもあった。 例をあげると、教皇の命にしたがってヘイスティングズの戦い(1066年)に加わった騎士は、戦いのあとに告解行い、そこで戦場殺した1人につき10年「罰」与えられた。 もしも存命中にこの「罰」償いきれずに死んだ場合死後煉獄落ちる。人は煉獄で炎に焼かれながら、残った「罰」清算して浄化されてからでないと、天国へ入る資格得られない。しかし15世紀に入る頃には、煉獄行かずに済むような人物など実際にはほとんどいないようになった。しかも、ペスト代表されるように、当時の人々はいつ死んでもおかしないよう日常生きており、突然の死とその後に来る長い煉獄苦しみは、当時の人々恐怖対象だった。 人々は、教会から与えられ蓄積され「罰」巡礼寄付などを通じて少しずつ償っていく。当初贖宥状効能とは、この教会課す「罰」を「7年のような一定部分だけ免除する、というものだった。この贖宥効果はどこから来ているかというと過去聖人積み重ねた功徳源泉である。彼らは死ぬまでのあいだに、自分自身「罰」総和上回る善行行ったので、償い余剰しており、教皇はその余剰管理して分け与えるのである贖宥状効力は、そのうちにその対象範囲拡大されていった。たとえば「断食免除」や「所有者不明な財産取得する許可」なども出されるようになり、贖宥状を束で買うような者も現れるようになったシクストゥス4世は、教皇司る現世」の中には煉獄」も含まれるのだという解釈示し、既に死んでしまった者が煉獄支払い続けている教会の罰を減らすという贖宥状発行したレオ10世売り出したのは「ありとあらゆる罪がすべて」許されるというものだった。本来は「罪」と「罰」別のものであり、贖宥状は「教会の罰」を減じるだけというのが教理であったが、多く民衆はこうした詳しい教理理解していなかった。また、後にルターによる問題提起明らかになっていくのだが、教皇筆頭聖職者多くも、贖宥状販売実務知っていても、贖宥に関する教理はよくわかっていなかった。

※この「罪と罰、贖宥状の効能」の解説は、「レオ10世による贖宥状」の解説の一部です。
「罪と罰、贖宥状の効能」を含む「レオ10世による贖宥状」の記事については、「レオ10世による贖宥状」の概要を参照ください。

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