縁取り空胞型遠位型ミオパチー
常染色体劣性遺伝をとり、遺伝子座は第9染色体にあり、UDP-N-アセチルグルコサミン2−エピメラーゼ/N-アセチルマンノサミンキナーゼ(GNEと略されています)という酵素の遺伝子に変異があります(Nat Genet 2001; 29:83-87)。なぜ、この酵素が欠損すると病気になるのかはよくわかっていません。 筋生検をすると、筋線維の中に細かい顆粒状の物質で縁取られた(rimmed)空胞(vacuole)があるのが特徴的で、縁取り空胞型変性とよばれています(図37)。本は筋ジストロフィーではありません。
縁取り空胞がどのようにしてできるのか、そのメカニズムはよく分かっていません。局所的な筋原線維の変性があり、それをリソソームというのが食べて消化します(これを自己貪食といいます)。その場所が縁取り空胞として認められるのです。ではなぜ、局所的な筋原線維の崩壊があるのでしょうか。その原因としてアポトーシスが関与しているとの説が提唱されています。
症状は20−30歳台に現れることが大半です。下腿の前の方、すなわち前頸骨筋が最初に侵されますので、つま先がもちあがらず歩くときにちょっとした物に引っかかる。あるいはスリッパが脱げやすいなどの症状がみられます(図38)。すぐに下腿全体の筋肉が侵されるので、歩行が困難となります。平均10年くらいの経過で車椅子生活となります。心筋や呼吸筋は侵されにくいので生命的予後はよいとされています。
筋線維の壊死は少ないので、血清クレアチンキナーゼ(CK)値は軽度上昇程度です。診断には筋生検が必要です。筋の侵され方に特徴(下腿は侵され、大腿後部のハムストリングは侵されるのに、大腿四頭筋はよく残るなど)があるので、筋CT/MRIが診断に役立ちます。
今のところ、治療法はなく、病気の進行を少しでも抑えるリハビリテーションが大切です。
生検筋にゴモリトリクローム変法染色をすると、赤色の細かい顆粒状の集まりや、それが縁取った空胞がみえる。空胞をもつ筋線維の方が萎縮している。 | |
図37:縁取り空胞(rimmed vacuole) |
縁取り空胞がどのようにしてできるのか、そのメカニズムはよく分かっていません。局所的な筋原線維の変性があり、それをリソソームというのが食べて消化します(これを自己貪食といいます)。その場所が縁取り空胞として認められるのです。ではなぜ、局所的な筋原線維の崩壊があるのでしょうか。その原因としてアポトーシスが関与しているとの説が提唱されています。
症状は20−30歳台に現れることが大半です。下腿の前の方、すなわち前頸骨筋が最初に侵されますので、つま先がもちあがらず歩くときにちょっとした物に引っかかる。あるいはスリッパが脱げやすいなどの症状がみられます(図38)。すぐに下腿全体の筋肉が侵されるので、歩行が困難となります。平均10年くらいの経過で車椅子生活となります。心筋や呼吸筋は侵されにくいので生命的予後はよいとされています。
下腿の前面の前頸骨筋(→) が萎縮するのが特徴的である。 | |
図38:縁取り空胞型遠位型ミオパチー |
今のところ、治療法はなく、病気の進行を少しでも抑えるリハビリテーションが大切です。
縁取り空胞型遠位型ミオパチーと同じ種類の言葉
ミオパチーに関連する言葉 | 甲状腺機能低下性ミオパチー 先天性ミオパチー ネマリンミオパチー ステロイドミオパチー 縁取り空胞型遠位型ミオパチー |
- 縁取り空胞型遠位型ミオパチーのページへのリンク