糖原病II型とは? わかりやすく解説

糖原病II型

遺伝子座は第17染色体長腕にあり、酸マルターゼコードする遺伝子いくつかの点変異が見いだされています。本症は発症時期により、次の3型分類されています。
a.乳児型(infantile acid maltase deficiency: Pompe disease)
生後数カ月以内近位筋の筋力低下筋緊張低下、心、舌、肝肥大をみます。呼吸不全哺乳低下がみられ、通常2歳まで呼吸不全、あるいは心不全で死の転帰とります
心電図では心肥大所見と、PR間隔短縮特徴的所見です。筋生検による組織化学的検査と、酸マルターゼ酵素活性測定診断確定します
病理学的に神経細胞骨格筋、心、肝、平滑筋細胞内に著明グリコーゲン蓄積をみます。筋生検ではリソゾーム増加し、酸フォスファターゼ活性著明上昇している(組織化学的証明できます)ことが診断役立ってます。
b.小児型(childhood acid maltase deficiency)
乳児期あるいは小児期筋力低下気付かれます。近位筋の筋力低下主症状で、心、肝肥大はありません。血清クレアチンキナーゼCK)値も軽度ですが高いので、多く患者さんは肢帯型筋ジストロフィー臨床診断うけます四肢筋力低下ゆっくりと進行します。本症では特に呼吸筋侵されやすいので、呼吸機能に関する注意が必要です。呼吸機能低下した人には人工呼吸器使用します
筋生検では乳児型より軽症ですが、同じ所見をみます。
c.成人型(adult-onset acid maltase deficiency)
20歳以降発症し進行性筋力低下をみます。臨床的に肢帯型筋ジストロフィーと同じで、心、肝肥大はありません。呼吸筋侵され易いこと、頸屈筋筋力低下が目立つこと、筋電図で偽ミオトニー現象をみることが本症の特徴とされています。
治療今のところ抜本的な治療法はありません。ただし、酵素補充療法実現化そうですし、遺伝子治療研究進んでます。

ポンペ病

(糖原病II型 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 14:40 UTC 版)

ポンペ病(ぽんぺびょう、Pompe Disease)は、糖原病の1つ(II型)であり、細胞内酵素であるα1,4グリコシダーゼの欠損によりあらゆる細胞のライソゾームグリコーゲンが蓄積する病態である[1]。常染色体劣性遺伝形式をとる[2]。ライソゾームに関連した酵素が欠損しているために、分解されるべき物質が老廃物として体内に蓄積してしまう先天代謝異常疾患の総称である「ライソゾーム病」として特定疾患に2001年に指定された。糖原病や酸性マルターゼ欠損症(AMD)とも呼ばれる[3]。オランダの病理学者ヨアネス・カッシアヌス・ポンペオランダ語版1932年に初めて報告した[3]


  1. ^ a b c ポンペ病 国立成育医療研究センター
  2. ^ a b c d e f 厚生労働省難治性疾患克服事業ライソゾーム病に関する調査研究班
  3. ^ a b c d e 日本ポンペ病研究会「診断治療ガイドライン」
  4. ^ a b c d 日経メディカルオンライン「マイオザイム:糖原病II型の特効薬」
  5. ^ 難病情報センター
  6. ^ a b c 日本小児神経学会
  7. ^ “「ポンペ病」に光を映画機に関係者期待”. 47NEWS. (2010年7月20日). http://www.47news.jp/feature/medical/2010/07/post-372.html 2012年2月16日閲覧。 
  8. ^ 重症複合免疫不全症とポンぺ病の新生児マススクリーニングを愛知県内で開始について~早期診断による救命率の向上に期待~”. 名古屋大学医学部付属病院公式サイト. 名古屋大学医学部付属病院 (2017年4月1日). 2022年5月6日閲覧。
  9. ^ ポンペ病に対する新たな治療薬が登場”. 日経メディカル. 日本経済新聞社 (2021年11月25日). 2022年10月29日閲覧。
  10. ^ a b c サノフィ公式>「サノフィジェンザイム、開発中の第2世代ポンペ病治療薬の第I/II相試験結果を発表 - 主要な第III相試験の2016年第2四半期開始に向けた試験結果-」
  11. ^ “[https://www.sanofi.co.jp/-/media/Project/One-Sanofi-Web/Websites/Asia-Pacific/Sanofi-JP/Home/press-releases/PDF/2016/201611142.pdf?la=ja サノフィジェンザイム、開発中の第2世代ポンペ病治療薬 NeoGAAのピボタル第III相試験を開始]”. サノフィ株式会社 (2016年11月4日). 2020年9月21日閲覧。
  12. ^ a b c “[https://www.sanofi.co.jp/-/media/Project/One-Sanofi-Web/Websites/Asia-Pacific/Sanofi-JP/Home/press-releases/PDF/2020/200625.pdf?la=ja サノフィが遅発型ポンペ病の治療薬として 開発中の酵素補充療法剤により、臨床上意義ある症状改善を達成]”. サノフィ株式会社 (2020年6月25日). 2020年9月21日閲覧。
  13. ^ “[https://www.sanofi.co.jp/-/media/Project/One-Sanofi-Web/Websites/Asia-Pacific/Sanofi-JP/Home/press-releases/PDF/2021/210119.pdf?la=ja ポンペ病の酵素補充療法で 新たな標準治療となる可能性のあるavalglucosidase alfa 日本での承認申請のお知らせ]”. サノフィ株式会社 (2021年1月19日). 2021年5月24日閲覧。
  14. ^ 日経バイオテクONLINE (2021年1月19日). “サノフィ、ポンペ病の酵素補充療法で新たな標準治療となる可能性のあるavalglucosidase alfa日本での承認申請のお知らせ”. 日経バイオテクONLINE. 日本経済新聞社. 2021年5月24日閲覧。
  15. ^ ポンペ病に対する新たな治療薬が登場」『日本経済新聞』、2021年11月26日。


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