オーファンドラッグ
英語:Orphan Drug
希少疾病と呼ばれる、患者数の少ない疾患の治療に必要とされる治療薬。
希少疾病は日本では患者数が5万人に満たない疾患を指す。いずれも治療の必要性の高い重度の疾患であるが、患者数の少なさから投資を行っても採算がとれないため、製薬会社が研究開発を進めにくい傾向にある。
オーファンドラッグと同様、希少疾病に必要とされる医療用器具はオーファンデバイス(希少疾病用医療用具)と呼ばれる。
厚生労働省、および医薬品医療機器総合機構は、「希少疾病用医薬品等開発振興業務」(希少疾病用医薬品・希少疾病用医療用具の研究開発促進制度)を通じて、オーファンドラッグの開発に対する各種優遇措置を設けている。
関連サイト:
希少疾病用医薬品・希少疾病用医療用具の研究開発促進制度 - 厚生労働省
希少疾病用医薬品等開発振興業務 - 独立行政法人 医薬基盤研究所
希少疾病用医薬品
医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ない(日本の薬事法では、日本における対象患者が5万人未満)希少疾病 (Orphan disease) の治療に用いられる医薬品をいう。日本では未承認の物も含めると200種類以上のOrphan drugが指定されているおり、対象疾病はムコ多糖症VI型、骨ページェット病、筋萎縮性側索硬化症など多岐にわたる。一方、希少疾病とは、背景も定義も異なるが、誤って混同されるものとして「見捨てられた病気 (Neglected disease)」がある。見捨てられた病気は、患者数は少ないわけではなくトリパノソーマ症のように年間5〜15万人が感染しさらに5000万人が感染する危険性を有する疾病のことである。リューシュマニアやブルーリ潰瘍なども同様に見捨てられた病気である。これらの疾患には、目下のところ安全で有効な治療手段がなく、罹患した人々は重症な障害に苦しみ、死に至る者も少なくないことから、早急な治療薬の開発が必要である。しかしながら、これらの疾患の罹患者の大多数が、開発途上国の貧しい人々であるため採算性の点から製薬産業はそのような医薬品を開発あるいは製品化の対象としていない。先進国などの公的支援による研究・開発が望まれる。(奥村順子)
参考URL:Kaplan W, Laing R. Priority Medicines for Europe and the World. WHO, 2004.
http://mednet3.who.int/prioritymeds/report/final18...
希少疾病用医薬品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 06:06 UTC 版)
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希少疾病用医薬品(きしょうしっぺいよういやくひん、英語: orphan drug (OD) : orphan は孤児を意味する)とは、特定疾患などの薬物療法で必要性が高いのにもかかわらず、患者数が少ないため、製薬会社の採算が取れない処方箋医薬品を指す。
日本
日本では、薬機法第77条2で指定された、希少疾病に用いられる医薬品を指す。厚生省は1985年(昭和60年)に「稀用医薬品の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料について」の通知、「特定疾患治療研究事業」及び「新薬開発推進事業」を設置して、OD開発の促進を図った。
しかし、アメリカ合衆国連邦政府のOD制度に比べ不十分だったため、希少疾病用医薬品の研究開発促進を目的とした、薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の改正法案が1993年(平成5年)4月21日に制定され、1993年10月1日より施行されている。さらにこの基金の業務拡大に伴い、1994年4月1日から「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」に改組され、オーファンドラッグ開発振興業務を行っている
OD指定を受けるための基準
- 日本における対象患者数が5万人未満であること。(ただし、指定難病の場合は「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)第5条第1項に規定する人数まで」)
- 医療上、特にその必要性が高いこと。(代替する適切な医薬品等や治療方法がないこと、又は既存の医薬品等と比較して著しく高い有効性効若しくは安全性が期待されることをいう)
- 開発の可能性が高いこと。(当該医薬品等を使用する理論的根拠及び開発計画の妥当性が高いことをいう)
支援措置
- 医薬基盤・健康・栄養研究所による助成金の交付(開発に必要な試験研究費の2分の1まで)
- 医薬品医療機器総合機構による優先的な治験相談及び優先審査
- 税制上の優遇(控除割合:平成26年度以前に実施された特別試験研究費(助成金を除く)の12%、平成27年度以降に実施される特別試験研究費(助成金を除く)の20%)
- 指導・助言
- 再審査期間の延長(最長10年まで)
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では、1983年に「オーファンドラッグ法」が制定され、アメリカ食品医薬品局は対象患者が20万人以下の医薬品をオーファンドラッグとし、税制上の優遇に加え、7年間の市場独占権を認めているが、他の一般的な病気にも有効で製薬企業やバイオテクノロジー企業が大きな利益を得るケースが相次ぎ、過剰保護との指摘もある。
関連項目
外部リンク
- 希少疾病用医薬品等開発振興業務(医薬基盤・健康・栄養研究所 開発振興部)
- オーファンドラッグ計画の功罪(日経サイエンス)
- 希少疾病用医薬品市場
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