ネマリンミオパチー
ネマリンミオパチー(nemaline myopathy)はその中で最も頻度が高い病気です。常染色体劣性、優性遺伝が報告されています。筋組織をGomoriトリクローム変法染色でみると、糸くず(nemaはギリシャ語で糸の意味)のような封入体をみることから、この病名がつけられました(図26)。
この封入体(ネマリン小体)は電子顕微鏡でみると、横紋筋の横じまの一番濃いZ線と同じ濃さをしています。またこの封入体は生化学的にもZ線が持つαアクチニン蛋白を持っています。どうしてこの病気ではZ線蛋白が過剰に作られるのか、分かっていません。さらに驚くべきことに、ネマリン小体の量と病気の重症度の間には全く関係がないのです。ネマリンミオパチーで、いままで分かっている遺伝子の変異は筋線維が収縮・弛緩するときに関係がある構造蛋白(トロポミオシン、アクチン、ネブリン)をコードするものです。トロポミオシンの変異は優性遺伝をとるもの、アクチンの変異は主として重症型に、ネブリンの変異は患者さんが最も多い常染色体劣性遺伝をとる良性先天型に多くみられています。
正常筋(左)とネマリンミオパチー(右)の生検筋のGomoriトリクローム変法染色(筋疾患の診断には最も大切な染色。 簡単で30分以内に結果が出る)。 本症では筋線維内に赤黒色に染まる糸状ないし顆粒状の物質を多く認め、それが診断的意義をもつ。 | |
図26:ネマリンミオパチーの病理 |
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