筋無力症候群
前項で述べた特発性免疫不全による重症筋無力症以外の疾患で、筋の易疲労性を主症状とする神経筋接合部疾患をいいます。この中にはLambert-Eaton症候群、先天性筋無力症候群、中毒(薬物)性が含まれます。
(1)Lambert-Eaton症候群(Lambert-Eaton syndrome)
本症は神経終末のvoltage-sensitive calcium channels (VSCC)が自己免疫機構で減少ないし消失し、神経終末からのアセチールコリンの分泌低下が起こると考えられています。本症には高頻度に悪性腫瘍(特に肺小細胞癌)を合併することが知られています。悪性腫瘍が免疫機構に変化をもたらし、VSCCの抗体産生を促すと考えられているのです。
本症は男性に圧倒的に多くみられます。症状は重症筋無力症に似て易疲労性であって、躯幹近位筋が主に侵されるます。眼筋も侵されます。約80%の患者は自律神経障害があります。抗アセチールコリン製剤は軽度有効ないし、無効といわれています。
筋電図では低頻度刺激で誘発されるM波の振幅は小さく、低頻度刺激での漸減現象は目立ちません。10Hz以上の高頻度刺激ではM波振幅は増大(漸増現象:waxing phenomenon)が著明に認められます。
(2)先天性筋無力症候群
生下時ないし乳児期から筋力、筋緊張低下があり、先天性ミオパチー(ネマリンミオパチーなど)と症状は似ています。原因は神経筋接合部でのいろいろな異常です。日本ではまだはっきりとした患者さんの報告はありません。診断は筋電図と筋生検(神経筋接合部を中心とした検査)です。
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