統合再編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/20 22:20 UTC 版)
県立日本海病院は開院したものの、救急医療特化型ではなく、総合病院として設置された。このため急性期医療を中心とする市立酒田病院と機能と診察が重複していたほか、国の指導方針等によって、救命救急センターは人口100万人に1箇所とされていたことから救急医療レベルが2.5次に留まり鶴岡市を中心とする南庄内地域の三次救急まで十分にカバーできずにいた。また病院建設等に伴う減価償却費や起債償還もあり、開院以来赤字がかさみ、2006年度末には累積欠損金を約109億円抱え、さらに約24億5千万円の不良債務も発生するような状況に追い込まれていた。 他方、市立酒田病院は県立日本海病院の開院によって患者数が激減し、経営難に追い込まれたが、当時の院長に拠る経営改革が功を奏し、2001年度以降、経営は黒字に復した。しかし、建築後40年が経過し老朽化が目立っていた病院の改築が俎上に載っていた。酒田市は市民から市立酒田病院の改築を望む声が多数寄せられていたことに沿って、新病院建設プランを盛り込んだ「市立酒田病院第二次マスタープラン」を策定した。だが、地元医師会や県の救急医療体制等に関する検討会(庄内部会)では、第二次マスタープラン通り病院が改築されれば医師不足や県立日本海病院との共倒れとなるとの指摘が出された。指摘を受け酒田市は、外部有識者による「市立酒田病院改築委員会」を設置。委員会は重複する診療科を持つ2つの病院が競合しているため、統合再編が望ましい。との見解を主眼とする報告書を酒田市に提出した。 2005年12月、委員会報告を受け酒田市は県に対して県立日本海病院と市立酒田病院の統合再編を申し入れ、協議が開始された。その後、酒田市長と県知事をトップとする山形県・酒田市病院統合統合再編協議会が設置され、再編される病院には庄内二次保険医療圏および最上二次保険医療圏の一部をカバーする救命救急センターを新たに整備するなどの方針を盛り込んだ「山形県・酒田市病院統合再編整備基本構想」を策定した。また2007年7月、同協議会において経営の自立性と責任体制の明確化が不可欠であることから経営形態を「一般地方独立行政法人」とすることが決定された。 山形県議会や酒田市議会の議決のほか、総務大臣の認可等の手続を経て、2008年4月1日、「地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構」が発足。山形県立日本海病院は「日本海総合病院」、市立酒田病院は「日本海総合病院酒田医療センター」となった。なお、これらの新名称は一般公募によって選ばれた。 2011年4月、日本海総合病院敷地内に増築した地上4階建ての建物において救命救急センターは稼働を開始した。また新しい診察体制のスタートにあわせコンビニエンスストアやコーヒーショップも導入したほか、24時間対応の院内保育所や駐車場も拡張するなどした。
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