経済的課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 11:05 UTC 版)
資源 1970年代初め、ローマクラブレポートが出た頃までは、石油は安価なまま急速に掘りつくされると考えられていたし、風力や太陽は当時非効率で到底20-30年で大電力を供給できるようには思われておらず、核融合は50年先と思われていて、海水からのウラン吸着の研究など存在しなかった。当時はすべて右肩上がりの時代で、中国・インドなど発展途上国の経済成長も直ぐに始まり、化石エネルギー枯渇で急速に危機に直面すると思われていた。 現実には、予想に反して原油価格は上昇し、オイルショックを経て原油は石炭、天然ガスに取って代わられ主要な発電手段ではなくなった。そして現在の掘削技術の向上で化石燃料の推定埋蔵量は毎年上がっている。また、中国・インドの経済成長による化石燃料の減耗加速は2000年代までずれ込んだ。そうしているうち核融合も実証炉ITERの建設まで具体的道程が描ける所まで進化した。ただし、核融合炉建設の遅延の懸念も存在する。 リン鉱石等に含まれるウランの回収等も計画されており利用可能なウランの量が増える可能性がある。約45億トン存在する海水ウラン吸着の研究も進んでいるが、いまだ既存方法の5倍から10倍のコストがかかる。 このような資源状況で前述の日仏など高速増殖炉の増殖機能を重視せず今後の開発を高速炉とする国も出てきている。 再生可能エネルギーとの比較 原子力はその登場当初「唯一の火力に代わり得るエネルギー」と言われていた。原子力はそのエネルギー量の膨大さ故に、世界的な政治経済情勢を大きく変える要素である。政治経済が絡むため、賛成派、反対派が様々な活動を行っており、そういった活動の中、原子力は電力用としては再生可能エネルギー時代までの数十年間の過渡期エネルギーであると主張されることもある。 現在、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの発電コストが急激に低下しており太陽光発電は2030年には、軽水炉原子力発電に追いつけるコストになると看做されるようになっている。平成27年の資源エネルギー庁発電コストワーキンググループの「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」 によれば、風力発電、太陽光発電のコストは軽水炉による原子力発電の2倍程度であり、今後さらにその差は縮小すると考えられる。
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