経済産業界への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 02:38 UTC 版)
民間企業が軍需生産に参画することによって技術を得ることもあるが、軍需工場は攻撃目標となりうるため空襲などを受ける可能性も高く、危険を伴うものであった。敗戦となれば戦争によって得た莫大な利益が問題視されることも考えられる。 また、総力戦体制により生産品のほとんどが軍需となった後、戦後その軍需一辺倒の特需景気から民需への切り替えに失敗すると産業構造を含めて大きな問題を生じる可能性が高い。 第二次世界大戦においては全ての主要参戦国が国家総力戦の態勢で臨み、多くの産業が戦争に協力することとなった。日本やドイツ、アメリカ合衆国やイギリスなどの参戦国においては協力しない企業は皆無に近い状況であった。民需の乏しいソビエト連邦は戦争に全力で対応せざるをえなかった。敗戦国は容赦なく戦勝国の政府から占領策を敷かれていった。連合国、現国際連合は、現在、日本を敵国として見ている敵国条項を表明しているが、GHQは日本では戦後GHQが日本を占領するため、財閥解体や公職追放や新聞社への検閲や麻の生産や販売の制限や大日本帝国憲法の破壊などを始めさまざまな占領策をかけた。ドイツではニュルンベルク裁判後にクルップ、IG・ファルベンなどが継続裁判にかけられた。 第二次世界大戦後の敗戦国の軍事力解体においては、ミサイル(ロケット)・軍用機(航空機)・核兵器などの新しい兵器、レシプロからジェットへの技術移行期間中の兵器にかかわる産業・研究が制限を受けることとなった。 ナチス・ドイツでは最先端にあったロケット関係の技術情報・技術者を戦勝国であるアメリカ・ソビエトが奪いあい両国における宇宙開発・ミサイル開発に無条件に動員された。その結果は冷戦時代の宇宙開発に如実に表れている。 日本では戦後の有望な産業としての航空機産業の育成を阻害する目的で航空機産業を解体。大学における研究すら禁止される状態となった。これにより大型飛行機の国産化は21世紀になっても実現出来ていない。 航空機産業の技術者・生産力は自動車産業や日本国有鉄道(国鉄)に流れることとなった。産業の先端を支えるであろう技術者は自動車産業に向かうものも多く、その黎明期を支え、また国鉄に移った技術者は新幹線を実現させた。
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