米国側当事者・関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 08:24 UTC 版)
「ハル・ノート」の記事における「米国側当事者・関係者」の解説
ハル国務長官 「私が一九四一年十一月二十六日に野村、来栖両大使に手渡した提案(十ヵ条の平和的解決案)は、この最後の段階になっても、日本の軍部が少しは常識をとりもどすこともあるかも知れない、というはかない希望をつないで交渉を継続しようとした誠実な努力であった。あとになって、特に日本が大きな敗北をこうむり出してから、日本の宣伝はこの十一月二十六日のわれわれの覚書をゆがめて最後通告だといいくるめようとした。これは全然うその口実をつかって国民をだまし、軍事的掠奪を支持させようとする日本一流のやり方であった」。 また、ハルは日米交渉の目的について、次のように言及している。「ヨーロッパに戦争が勃発し、特にフランスが陥落してから、アメリカは日本とのすべての関係において2つの目的をもっていた。その一は平和であって、その二はもし平和がえられなければ、アメリカの防衛を準備するために時間を稼ぐことであった。アメリカは平和をかちとりえなかったが、無限の価値ある時間を稼いだ」「日本がもし六ヵ月早く真珠湾を攻撃していたならば、世界戦争の全貌が変っていたかも知れない」。 グルー大使 「米国政府は極東の全情勢を調整するための十ヶ条からなる提案草案を日本に渡した。範囲の広い、客観的にして政治道を具現化した文書であり、もし日本が侵略的政策を中止しさえすれば日本がそのために戦いつつあり称するものをほとんど全部与えることを提議している。このプログラムに従えば、日本は必要とする原料を自由に入手することと、通商貿易の自由と、財政的協力と援助と、凍結令撤回と、米国と新しい通商条約を交渉する機会を与えられる。だがもし日本が東亜の国々を政治的経済的に抑圧しようと欲し―日本の極端主義者の多くはこれを欲している―武力によって南進を遂行せんとするならば、間もなくABCD国家のすべてと戦端を開くことになり、問題なく敗北して第三等国の地位に落ちる」「日本の世論はいつでも比較的短時間に形づくることが出来る。今政府がとるべき賢明な処置はワシントン会談でこれ以上武力にうったえることなく、いままでそれを目的に戦ってきた保全及至『自由』を獲得し、偉大な外交的勝利を占めたことを国民に納得させることである」。 また、グルーはハル・ノートは決して最後通牒ではない、日米間で認められた協議の基礎を明示したものであることを東郷外相に説明したいと、吉田茂に依頼して会談を申し入れたが、東郷は応じなかった。後にグルーは東郷に会ったが、「自分は甚だしく失望している」と告げられたという。
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