管の作り方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/14 08:48 UTC 版)
管を作るには、様々な方法がある。はじめから管の形を作るのもあるが、何かを変形することもある。 平面の左右を折り曲げ、その両端を接着させる。脊椎動物の神経管は原腸胚期の胚の背面外胚葉がくぼみ、溝となった後、その上側の左右が融合して管となる。カヤツリグサ科などに見られる円筒形になった葉鞘も、本来は平面であるものが巻いて、その両端が癒合したものと見られる。カの口吻の吸血に用いられる管は、上唇が円筒状に巻いて形成されており、その外側に大顎と小顎、下咽頭が添えられる。 複数の板を張り合わせる。チョウやガの口吻は液を吸うためのストローになっているが、これは樋状になった細長い小顎外葉を左右から合わせることで作られる。それに対してカメムシ目の口針の形成には、大顎と小顎の2対の要素が与っているが、実際に管になるのはやはり小顎の方で、2本の溝が刻まれた小顎針が合わさることで、内部に食物の吸収用と唾液を送り出す2本の管が形成される。 細い棒を円周状に配置。ヒゲムシの触手の多いものには触手による管を作る例が見られる。また、微小管は時にこの形に配列し、その内部で物質輸送が行われる例がある。太陽虫や吸管虫を参照。 円周の形に素材を積み上げてゆく。ハチの巣、微小管等はこれ。 既存の長い構造の内部に空洞を作る。道管の場合、まず細長い細胞ができ、その細胞壁が厚くなった後、細胞が死んで細胞質がなくなり、両端の細胞壁が壊れて管となる。 薄いものを巻く。例えばバナナなどのいわゆる偽茎は葉鞘を巻き重ねたようなものである。 細長い紐を螺旋状に巻いて行く。タバコモザイクウイルスはDNAと蛋白質の紐が螺旋に積み上がった構造をしている。環形動物のヒゲムシには長い一本の触手を持ち、これを螺旋状にしてその内部の空洞で消化を行うと見られるものがある。 液体がその表面で固体化する場合。内部の液体部分がさらに流れると、次第に円筒形の管が形成される。鍾乳洞に見られるストローはこれに類する。 棒状の構造の外側に物質を固形化させる。細長い虫が、体表から粘液を出して細粒を集めて棲管を作るのはこれに当たる。チクワは竹に魚肉練り製品を巻きつけ、焼いて作る。 面の真ん中をつまんで引っ張る、あるいは押し込むことで細長い筒を作る。動物の発生における原腸の形成など。 まず太い管を作っておき、これを引っ張り伸ばして長くて細い管を作ることもある。パスツールピペットのような細いガラス管はこれで作る。進化的には、タツノオトシゴやクダヤガラの吻は口が引き伸ばされたものと見なせる。 細い管を作り、中に空気で圧力をかけ、引き伸ばしながら、膨張させることで薄く太い管を作ることもある。ポリ袋はフイルム状に薄くしたポリエチレンなどの合成樹脂の管を押しつぶして、底を熱で溶着させることで作られるが、薄い管のまま使う例もある。
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