第1事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 01:27 UTC 版)
元S21(トゥール・スレン)政治犯収容所所長、カン・ケク・イウに対する裁判 共同検察官は、2007年7月18日、共同捜査判事に対し、カン・ケク・イウ及び後述(第2事件)の4人について司法捜査開始申立てを行った。共同捜査判事は、まず、カン・ケク・イウについて嫌疑に相当の理由があるものと認め、司法捜査を開始し、勾留を決定した。これにより、カン・ケク・イウは、同月31日に軍の拘置施設から、カンボジア特別法廷の拘置所に移監された。2008年8月8日、共同捜査判事により起訴され、公判前裁判部により起訴の判断が是認(一部変更)されたのが同年12月5日であった。2009年2月17日及び18日、第一審裁判部で公判の冒頭審問が行われた。実質的な審理は同年3月30日に始まり、同年9月17日、証拠の提示が終わった。その間の証拠調べ期日は72日にわたり、証人24人、民事当事者22人、専門家9人が出廷した。同年11月23日から27日にかけての5日間、最終弁論が行われて公判は結審した。審理の中で、カン・ケク・イウは、自らの責任を認め、謝罪の言葉を述べた。 2010年7月26日に一審判決が出され、次の罪で有罪とされ、禁錮35年を宣告された(1999年5月から2007年7月31日までのカンボジア軍裁判所による違法な拘禁に対する救済措置として30年に減刑)。 人道に対する罪(政治的理由による迫害) 人類絶滅に対する罪(殺人を含む)、奴隷化、拘禁、拷問(1例の強姦を含む)、その他の非人道的行為 1949年のジュネーヴ諸条約の重大な違反 意図的な殺人、拷問・非人道的取扱い、意図的に身体又は健康に対する重大な苦痛又は重大な傷害を与えたこと、意図的に捕虜又は文民に対し公正かつ通常の裁判を受ける権利を奪ったこと、文民の不法な拘束 同判決では、S21収容所で子供を含む1万2000人以上が収容され、その多くが拷問その他の非人道的行為を受けるとともに、被収容者のほとんどが付属の処刑場等で処刑されたと認定された。 刑期は、未決勾留を控除すると19年となり、被害者や人権団体等からは軽すぎるとの声もある。一審判決に対しては、共同検察官と被告人の双方から控訴がなされた。 また、一審判決では、民事当事者の求めた補償措置のうち、(1)被告人が公判手続中に謝罪し責任を認めた陳述を集約し、判決確定後に特別法廷のウェブサイトに掲載すること、(2)当事者適格を認められた民事当事者が被告人の犯罪により被害を受けたことを確認・宣言することを認めた。民事当事者は、補償措置及び民事当事者適格性についての判断に対して控訴している。 2012年2月3日、上訴審で一審の禁固35年の判決が破棄され最高刑の終身刑判決を受けた。
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