私生活・人柄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:38 UTC 版)
「ヘルムート・シュミット」の記事における「私生活・人柄」の解説
私生活では、大戦中の1942年に幼馴染のハンネローレ・グラーザー(愛称「ロキ」)とルター派教会で結婚。愛妻家であり、のちに党の後輩であるシュレーダーが首相になったとき、「私はロキとは70年の付き合いだ。結婚して56年になる。ほんの少しでも見習ってもらえれば」と目の前で述べて、首相就任の前年に四度目の結婚をしたシュレーダーに苦言を呈している。自然保護活動に熱心だったロキは、2010年10月21日にハンブルクの自宅にて91歳で死去した。ロキの葬儀はハンブルクのルター派教会聖ミヒャエル教会 (ハンブルク)(ドイツ語版)で2010年11月1日に執り行われた。ロキとの間には2人の子があり、1944年に生まれた長男ヘルムートは障害があり1歳になる前に病死したが、1947年に誕生した長女ズザンネはブルームバーグテレビジョン職員となり、現在はロンドンに在住している。 ロキの没後2年となる2012年8月、『ディー・ツァイト』のインタビューにおいて、1933年生まれの元秘書ルート・ロアーと事実婚の関係にあることを明らかにした。 シュミットの教派はルター派だが、無神論者ではないものの宗教は重視していないと発言している。2007年には「アウシュヴィッツの蛮行を見過ごした神をもはや信じていない」と述べた。教会は戦後道徳の再建にも民主主義や法治国家の建設にも寄与しなかったとも述べているが、道徳的な基盤として教会を認めている。 非常な愛煙者であり、1990年代にテレビのトーク番組に出演したときも終始タバコを吸い続け、顰蹙を買ったことがある。連邦議会の議場内は禁煙なので、やむを得ず審議中だけ嗅ぎ煙草を使った。モスクワの大クレムリン宮殿の「エカテリーナの間」の中でタバコに火をつけた唯一の人物でもある。90歳となった2009年に日本のNHKで放送されたテレビ番組の取材でもタバコを手放すことはなかった。 美術愛好家でもあり、首相就任時にはボンにある首相府の中庭にヘンリー・ムーアの作品「Two Large Forms」を据えさせた。この彫刻は東西ドイツ再統一への願いを込めている。執務室にエミール・ノルデの絵を飾り、入口の「首相執務室」と書かれた札を取り払って「ノルデの部屋」と掲げさせた。音楽にも造詣が深く、国防相時代に連邦軍の軍楽隊「Big Band」を創設させた。オルガンやピアノもこなしたが、特に後者は完全にプロ級であり、クリストフ・エッシェンバッハやゲルハルト・オピッツらと共演してヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトやヨハン・ゼバスティアン・バッハの3台、4台のピアノのための協奏曲をレコード録音。これらはCD時代にも発売され続けている。ただし晩年は加齢により右耳はほとんど聞こえず、左耳にも補聴器をつけており、「音楽が聴けないのは食べられないよりつらい」と語っている。
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