神智学協会の影響
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パールシーは、1875年にロシア人オカルティストのヘレナ・P・ブラヴァツキーとアメリカ人ヘンリー・スティール・オルコットが設立した神智学協会の神智学から相当に大きな影響を受けている。また逆に、1879年に神智学協会がインドに進出してマドラスに本拠地を置いた当初には会員の半分がパールシーだった程、神智学協会におけるパールシーの勢力も大きく、オルコットは神智学協会が説くオカルト科学とゾロアスター教は一致した内容を持つと考えていた。パールシーと神智学協会は共にゾロアスター教の教義が時代遅れでないことを証明しようとした。近代化に反発するパールシーは、神智学協会の反物質主義的な思想を歓迎した。神智学協会によるパールシーの宗教儀式への秘教的意味付けを、儀式を無意味であるという批判への反論を可能にするものとして歓迎する人もいた。また、神智学協会は善・悪の二神を人間心性の二傾向として理解し、ブラヴァツキーは人間を導く天使と悪魔はその人の心の上位自己と下位自己であるとしたが、改革派パールシーはこれを受けて、善神アフラ・マズダを上位自己、悪神アンラ・マンユを悪しき欲望、下位自己であると考えた。 両者の関係は、キリスト教宣教師によるゾロアスター教への攻撃、イギリス統治下でのパールシーの経済的成功からパールシー社会に広まった拝金主義と宗教的無関心、パールシー司祭階級の堕落への危機感といった背景がある。神智学協会は、ゾロアスター教は一神教であり輪廻転生の教義 を持つと考え、菜食主義などゾロアスター教と関係のない習慣もパールシーに持ち込んでおり、パールシーの伝統と思想を脅かすという懸念も少なくなかった。パールシーの神智学徒たち(パールシー神智学)は、開祖ザラスシュトラを神智学の「知恵のマスター」たちよりもさらに偉大な神的存在であると考えた。また、オルコットがフリーメーソンに入会していたこともあり、フリーメイソンの支部がパールシーに作られ多くの知識人が入会した。 世界同胞思想、反植民地思想を持つ神智学協会には社会思想・社会活動としての面があり、W・P・Wadiaが設立したインド最初の労働組合など、現実的な問題に関心を向ける進歩的なパールシーと共に行った社会活動も少なくない。 パールシーによるゾロアスター教的オカルト運動、または神智学をゾロアスター教化したものとして、エルメ・フシュヌーム(英語版)がある。
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