研究対象と方法論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 05:41 UTC 版)
経営人類学の研究対象は多様であるが、これまでの研究は(1)社縁文化の研究と(2)経営理念の研究に大別される。社縁文化の研究は会社儀礼、会社神話、企業博物館などの調査にもとづくエスノグラフィー(民族誌)をめざし、経営理念の研究は日本企業をはじめとするアジア企業の生成・伝播・継承のダイナミズムを追究している。いずれの場合も会社を「利益共同体」という側面のみで捉えるのではなく、「生活(文化)共同体」としてトータルに把握することを目指している。その方法論は文献研究にとどまらず、インタビューや参与観察を駆使し、文化相対主義の立場から文化的価値観に照らしてコスモロジー(時間観・空間観)の把握につとめることを基本としている。より具体的には、以下のような特徴をもつ。 研究対象を主体と切り離された客体としてとらえ、「普遍的」「客観的」法則を見つけようとする「科学的」立場ではなく、主として参与観察やインタビューによりながら、主体と対象間の「相互主観的な意味解釈」を重視しようとすること。 特定の現象や行為に対して「合理的」VS.「非合理的」という二分法的な分析枠組みをとらないこと。 現象理解に際して「要素還元主義」を採らず、できる限り「全体」を把握しようと努めること。 分析方法としては「理論→演繹」「仮説→検証」ではなく、「現象→解釈(記述)→帰納」という方法を重視すること。 現象記述に関しては、「原因→結果」という機能主義的説明から「物語形成」「意味了解」という解釈主義的な方法をとることが多い。
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