短期直接監視下治療
WHOは1991年以来、世界の結核対策を成功させるために以下の5つの要素を対策パッケージ:DOTSと呼んで推進している。
(1)結核対策強化のための、既存の制度の中での政府の強力な取り組み。
国あるいは県レベルには、専門知識および技術およびを持った結核担当官が配置され、的確な方針の選定と予算、人員の確保に努める。また、結核治療はできるだけ住民に近い場所で実施されるため、既存の組織やプライマリーヘルスケアを最大限に活用する。
(2)有症状受診者に対する喀痰塗抹検査による診断。
結核の診断は喀痰塗抹検査が最も信頼できる方法である。診療所では通常、2週間以上の咳や痰、喀血、微熱、体重減少などの症状がある患者に、その日と翌朝の早朝痰と受診した際の3回の喀痰を出すように依頼し、検体をスライドに塗り、チールニールセン染色し、顕微鏡で検査して判定する。
(3) 標準化短期化学療法による適切な治療を行う。
(a) 治療 途上国で通常処方される薬剤はヒドラジド(H)、リファンピシン(R)とエタンブトール(E)、ストレプトマイシン(S)ピラジナミド(Z)であり、治療は無料である。治療期間はHRZE2ヶ月、HR4ヶ月の計6ヶ月あるいは、HRZE2ヶ月、HE6ヶ月の計8ヶ月である。当初はRを含む強化期を次に述べるDOTで行い、残りの維持期は月1回の受診である。
(b) DOT ((Directly Observed Treatment,直接監視下治療)
DOTとは目の前で患者が抗結核剤を服薬するのを毎日確認する方法である。投薬を確認するのは、必ずしも保健医療スタッフに限らず、地域や村の保健ボランティアも含む。
(4)薬剤安定供給システムの確立
過去の結核患者数と在庫量に基づいて、薬剤の購入と現場への遅れのない供給を行う。在庫管理は過去専門的に実施する者が必要であり、特に予備の在庫を確保して、決して現場で薬不足にならないようにすることが、対策の成功のために最も大切なことである。
(5) 患者の記録および治療結果のまとめと報告を確立して、結核対策を管理し定期的に評価すること。
患者カードを作成し、個人情報と菌検査結果、処方および服薬状況を記録し、患者管理およびプログラム評価に利用している。その記録に基づいて、塗抹陽性患者の1年後の治療結果を治癒、治療完了、死亡、失敗、中断に分類し、治癒率85%以上を目標にする。
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