産科救急ケア
妊産婦死亡につながる主な疾患を正確に予測・予防することは不可能であることから、近年、「全ての妊娠には合併症に陥るリスクがある」と考えられるようになった。したがって、どの妊娠・出産も合併症になりうるわけであるから、妊産婦死亡の低減のためには、
1)すべての女性が出産時には技術を持った出産介助者(Skilled Birth Attendant: SBA)の立ち会いを得られること (正常分娩介助の技術を持つだけではなく、合併症の発生を見つけ個人の技能や環境に応じてレファーを行うことができる介助者)
2)妊娠・出産・産後に合併症を伴った場合には、合併症に対応する処置のできる緊急産科ケア(EmOC)に女性がアクセスできるようにすること、この2点が重要であると言われている。
緊急産科ケアは、以下の2つのカテゴリーに分けて定義されている。
1)基礎的緊急産科ケア(Basic EmOC)は、「抗生剤・子宮収縮剤の静注もしくは筋注、子癇での抗痙攣剤の静注もしくは筋注、胎盤の用手摘出、その他子宮内遺残物の除去、吸引・鉗子などによる分娩」が含まれる。
2)包括的緊急産科ケア(Comprehensive EmOC)は、基礎的緊急産科ケアに加えて、帝王切開と輸血が含まれる。
50万人あたり少なくとも4つの基礎的緊急産科ケア施設と1つの包括的緊急産科ケア施設が存在すべきであるとされる。なお、EmOCは、本来はEOC(Essential Obstetric Care)とは、異なる概念であったが、現在は、同義で用いられることも多くなりつつある。(小原ひろみ)
参考URL:UNFPA Emergency obstetric care Checklist for planners
http://www.unfpa.org/upload/lib_pub_file/150_filen...
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