県警の謝罪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 14:22 UTC 版)
「桶川ストーカー殺人事件」の記事における「県警の謝罪」の解説
内部調査を終えた埼玉県警は、その結果を「埼玉県桶川市に於ける女子大生殺人事件をめぐる調査報告書」(4月6日付)として発表した。そして被害者家族が訴えていた一連の対応について、大筋でその事実を認めた(#嫌がらせ行為の激化と警察の対応も参照のこと)。「捜査活動について」という項においては、上尾署員が被害者から調書をとり作成した告訴状について「告訴」という部分を「届出」などに改竄していたことや、証拠品の取り扱いについて虚偽の報告書を作成していたことが初めて報告され、「これらは虚偽公文書作成などの罪に当たる」と認めた。 同日、県警本部長が記者会見を開き、冒頭で「殺害は避けられた」として国民に向けて謝罪。「仮に名誉毀損事件の捜査が全うされていれば、このような結果は避けられた可能性もあると考えると、痛恨の極み」と述べた。さらに本部長は同日夕刻に被害者宅を訪れ、遺族に謝罪した。被害者の遺影に合掌したのち両親と向き合った際、本部長は落涙していたという。調書改竄に関わった上尾署刑事二課長、同係長、同課員の3人は懲戒免職処分となり、ほか県警本部長以下12人に減給、戒告の処分が下された。免職者を除く主な処分は次の通り。 県警本部長 - 減給10%(1カ月) 県警刑事部長 - 減給5%(1カ月) 上尾署長 - 減給10%(2カ月) 上尾署副署長、県警監察官(元・上尾署副署長) - 戒告 県警刑事部主席調査官(元・上尾署刑事生活安全担当次長) - 減給10%(4カ月) 上尾署刑事生活安全担当次長 - 減給10%(1カ月) 県警本部長は詳細な調査を行った理由として、「『ザ・スクープ』を見て、聞いている話とずいぶん違うと思った」と述べたという。一連の報道の契機を作った清水潔が本件における取材活動をまとめた著書『遺言 - 桶川ストーカー殺人事件の深層』は、「週刊誌記者として警察記者クラブから疎外されながらも、警察より早く犯人像を明らかにし、警察の不祥事まで追及するなどした果敢な取材姿勢」が評価され、2001年度のJCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞を授与された。また、鳥越俊太郎が主導した一連の報道番組は「ジャーナリズムの原点である真実の追求と権力の監視を実践し、報道の信頼性を高め、報道被害の救済でも成果をあげた」として2001年度の日本記者クラブ賞を授与されている。2002年に第1次小泉内閣から犯罪被害者の保護とマスコミ規制が盛り込まれた人権擁護法案が提出された際、被害者の父親は報道被害の当事者として被害者保護については評価したものの、公権力である警察との対峙を支援したのもまたマスコミであったという事実から、「国がマスコミを規制するのは絶対におかしい」との見解を公にしている。
※この「県警の謝罪」の解説は、「桶川ストーカー殺人事件」の解説の一部です。
「県警の謝罪」を含む「桶川ストーカー殺人事件」の記事については、「桶川ストーカー殺人事件」の概要を参照ください。
- 県警の謝罪のページへのリンク