登記の可否
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団体名義の登記で述べた基本判例が出る以前から、登記実務では権利能力なき社団名義での登記はできないとされている(1947年(昭和22年)2月18日 民甲141号回答)。また、社団の代表者である旨の肩書きを付した代表者個人名義の登記も基本判例により許されないとされたが、登記実務では判例以前からできないとされている(1961年(昭和36年)7月21日 民三635号回答)。 登記は、代表者個人名義または権利能力なき社団の構成員全員の共有名義でするというのが登記実務である(1948年(昭和23年)6月21日 民甲1897号回答)。なお、代表者でない個人名義でも登記できるとした判例がある(最判 平成6年5月31日民集48巻4号1065頁)。この判例によると、代表者でない個人名義で登記をすることができるのは、その個人が所有権登記の管理に関する権限を全構成員から委任されているためであるという。 また、仮処分登記名義人(登記研究457-120頁)、仮差押登記名義人(登記研究464-116頁)、信託登記の受益者(1984年(昭和59年)3月2日 民三1131号回答)としても権利能力なき社団は登記できない。 一方、権利能力なき社団は抵当権などの債務者としては登記できる(1956年(昭和31年)6月13日 民甲1317号回答)。債務者は登記名義人ではなく登記事項の一つにすぎないからである(不動産登記法83条1項2号)。同様に個人の商号も、例えば「債務者 何市何町何番地 A商店」のように登記できる(同先例)。 ただし、権利能力なき社団を債務者とする不動産工事の先取特権保存登記を申請することはできない(登記研究596-87頁)。不動産工事の先取特権には物上保証のような性格はないからである。
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登記の可否
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保存行為A・B・C共有の不動産につきAが持分放棄をした場合、AとBの共同申請によりAからB・Cへの持分移転登記をすることはできない(登記研究577-154頁)。 一部の移転A・B・C共有の不動産につきAが持分放棄をした場合、AとBの共同申請によりAからBへ移転した持分のみについて持分移転登記をすることができる(1962年(昭和37年)9月29日民甲2751号回答)。 一部の移転に乗じた残部の移転上記一部の移転登記後Cが登記をしていなことに乗じて、Cに移転すべき持分をAが第三者Dへ売却した場合、売買を原因とするAからDへの持分移転登記の申請は受理される(1969年(昭和44年)5月29日民甲1134号回答、第177条)。 持分全部移転仮登記がされている場合A・B・C共有の不動産につきCからBへの持分全部移転仮登記(不動産登記法105条1号)がされている場合、AからBへ持分放棄を原因とする持分全部移転登記を申請することはできない(登記研究655-187頁)。
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