理容師と美容師の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/29 21:56 UTC 版)
おおまかに言えば、かつては男性を対象とするのが理容師、女性を対象とするのが美容師であった。現在は法律で、 理容 頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること(理容師法第1条の2第2項) 美容 パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすること(美容師法第2条第2項) と定義されている。また厚生労働省も、旧厚生省時代の1978年に出した通知の中で 美容師が、コールドパーマネントウエーブ等の行為に伴う美容行為の一環として、カッティングを行うことは、その対象の性別の如何を問わず差し支えないこと。また、女性に対するカッティングは、コールドパーマネントウエーブ等の行為との関連の有無にかかわらず行って差し支えないこと。しかし、これ以外のカッティングは行ってはならないこと と定め、美容師が男性のヘアカットを行えるのは「パーマ等に付随する場合のみ」と制限していたが、2015年に厚生労働省は新たな通知を発出し、上記の1978年の通知を廃止するとともに、理容師がパーマネントウエーブを行うこと、美容師がカッティングを行うことは、それぞれが行い得る行為の範囲等に含まれるものとし、それまでの規制を緩和した。 理容業・美容業は一つの店舗を共用して同時に営業することはできない。つまり、整髪の方法・場所を理美容毎に限定することで住みわけを図っていた。 現実には、どちらの業種とも顧客ニーズの多様化への対応と新規顧客を獲得するために相手の領域に進出しようしている(業権争い)。理容業でもパーマを行うところがほとんどであり、美容業側も数年前から、1948年の旧厚生省通達 「化粧に附随した軽い程度の「顔そり」は化粧の一部として美容師がこれを行っても差し支えない」 という通達により規制が緩和され、顔そりを行うようになりつつある。また美容師が男性のヘアカットのみを行うことについても、2015年の規制緩和まで、東京都など一部の自治体では業務実態として「通知書通りの指導を行うことは難しい」として事実上黙認していたが、一方で高知市など明示的に禁止事項として指導対象としていた自治体もあり、対応が分かれていた。 上記の通知をもとに全美連では美容師の顔剃りの講習などを積極的に行い、美容の業務に取り入れる動きを示したが、厚生労働省の見解は、美容師の行う顔剃りは、あくまでも上記の条件の範囲内とした。本格的な顔剃りはもちろん、独立したメニューとして顔剃りを行うことはできないというのが厚生労働省の現在の見解である。2009年、美容シェービニストの資格を認定する団体に対して、電気シェーバーの使用に関して、厚生労働省は使用する道具のいかんにかかわらず、顔剃りは理容師の業務と指導している。なお、この通知の四に関しては、現在もこの通知通りである。 理容師法の運用に関する件(昭和23年12月8日)(衛発第382号)(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通達) 理容師法の運用については、しばしば通牒したところであるが、なお、左記事項留意の上その万全を期せられたい。 記 一 (略) 二 削除 三 化粧に附随した軽い程度の「顔そり」は化粧の一部として美容師がこれを行つてもさしつかえない。 四 理容所の開設者は、理容師であると否とを問わない。又同一人が同時に理髪所と美容所を開設することもできる。但し、後の場合においては、理髪の施設と美容の施設とはそれぞれ別個に設けなければならない。 五 (略) 双方ともに消費者のニーズにより、歴史的経緯を超越し、理・美容統一資格を策定すべきとの意見もある。方法としては、過渡期においては旧理・美容資格者に新資格を与える、資格の相互認定、一定の講習により相互の資格を無条件に認可する、などが想定されている。資格統一以前に現場レベルで融合が進行しつつあり、ユニセックスサロンという複合型サロンが日本でも増えている。一方で両資格の専門性を高めるための動きも見られる。
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