猫と鼠
『十二支の由来』(中国の昔話) 昔、玉皇大帝が、十二支の動物を選ぶ大会を天上で開いた。その頃、猫と鼠は仲の良い友だちだった。大会の前日、猫は「おれは居眠りをすることが多いから、明日、声をかけて起こしてくれ」と鼠に頼む。しかし翌日、鼠は猫を起こさずに天上へ上がり、十二支の1番目になった。大会が終わってから猫は目覚め、怒って鼠を食い殺した。それ以来、猫と鼠は憎み合うようになったのだ(浙江省)。
*鼠が牛を利用する物語もある→〔競走〕1の『十二支(えと)の起こり』(昔話)。
『狗張子』(釈了意)巻7-5「鼠の妖怪、附・物その天を畏るること」 大商人徳田某が、古屋敷を買って山荘とした。ある夜、「屋敷の旧主」と称する男が、侍や女房など2~3百人を率いて乗り込み、酒宴をする。翌朝見ると、屋敷内の家具・器物がすべて破損していた。その中で、眠る猫を描いた懸物だけが無傷だったので、昨夜の人々の正体は鼠であり、猫の絵を恐れて近づかなかったことがわかった。
『災難』(星新一『きまぐれロボット』) 飼っている鼠たちが危険を予知して騒いだため、飼い主の男は、地震による家の倒壊や船の沈没事故から逃れることができた。ある時、鼠たちがまた騒ぐので、男はこの家に災いが迫っていると思い、転居した。すると鼠たちは静かになったので、男は一安心した。その頃、男のもとの家の隣には、猫をたくさん飼っている人物が引っ越して来ていた。
『ねずみ』(落語) 貧乏宿の「鼠屋」のために、左甚五郎が鼠を彫り、店先に置いて竹網をかける。その鼠が動くというので大評判になり、「鼠屋」は繁盛する。隣りの「虎屋」が対抗して、虎の彫り物を2階に置くと、虎に見下ろされた鼠は動かなくなる。これを知った左甚五郎が、「あの虎はそれほど良い出来でもないのに恐いのかい?」と鼠に聞く。鼠は驚き、「あれは虎ですか? 猫だと思った」。
『耳袋』巻之10「猫忠死の事」 大阪河内屋惣兵衛宅で飼うぶち猫が、主人夫婦に、「妖鼠が当家の娘を狙っており、自分1匹では守り難い。河内屋市兵衛方の虎猫の協力が必要だ」と夢告する。ぶち猫・虎猫と妖鼠が、2階で戦う。ぶち猫と妖鼠は喰い合ってともに死に、虎猫だけがかろうじて生き残る。
『猫の草子』(御伽草子) 慶長7年(1602)8月、京の町に、「猫の綱を解いて放し飼いにせよ」との法令が出た。自由の身になった猫たちは喜び、あちらこちら跳び回って鼠を取る。ある夜、某出家者の夢に鼠が現れ、生命が脅かされている苦境を訴える。翌晩には、猫が夢に現れ、鼠を取ることの正当性を主張する。鼠たちは集まって協議し、近江国へ身を隠すことになった。
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