特殊信号発光機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:45 UTC 版)
特殊信号発光機。左は回転形(I形)、中は点滅形(II形)。回転形が発光すると右の画像のようになる。 LED型特殊信号発光機(II形) 落石、雪崩、強風、踏切などに対して警戒を要する地点(支障箇所)に設けられる装置。特発(とくはつ)と略される場合もある。私鉄では踏切非常警報機、踏切非常警報灯と称する場合もある。平常時は滅灯しており、異常発生時に点灯して停止信号が現示される。支障箇所から800 m以上の視認距離を確保できるよう設置される。この視認距離は、異常時にのみ緊急で停止信号が現示されることから、通常の信号機の600 mに200 mの余裕を加えたものである。非常ボタンなどの取り扱いによって作動する。 現示方式は、五角形に並んだ赤色灯が連続2灯ずつ反時計回りに回転しながら点灯する「回転形」(I形)のほか、棒状に点滅する「点滅形」(II形)が代表例である。「回転型」は、人が発煙筒を右手で保持して時計回りで回転させる様子を参考とした。「点滅型」は、従来主流であった「軌道回路短絡器と信号炎管の組み合わせ」による列車防護に代わる方法として、1989年(平成元年)に製品化されたものである。信号炎管の取付台にそのまま取り付けられる形状である。私鉄では、赤色灯を4灯または2灯同時に点滅するものや、踏切が正常に動作していることを示す遮断反応灯(動作反応灯)と一体の機構となっている例がある。また、特殊信号発光機ではなく、単灯の「非常報知灯」などが同じ役割を持つことがある。 特殊信号発光機は、さまざまな使用用途がある。 使用用途機能踏切用 踏切内に自動車などが立ち往生した際に踏切を挟むようにして設置されている踏切障害物検知装置が自動車を検知したり、非常ボタンを押した場合に、停止信号を現示する。 落石警報用 危険がある崖下に落石検知線等を張り、これが切れると落石検知として停止信号を現示する。 強風用 橋梁上に、規定の風速より高い強風が吹いたときに停止信号を現示する。 ホーム用 ホーム用は主に場内信号機付近に「ホーム中継」として設置され、ホームの列車非常停止警報装置や転落検知マットに連動して停止信号を現示する。 限界支障用 複々線区間等列車の運転本数が多い区間に設置して、列車の脱線事故等が発生した際に二次災害が起こらないよう事故を検知して停止信号を現示する。 携帯用 携帯用信号炎管の代替として、線路内作業員や列車見張員が行う列車防護のために用いられ、赤色LEDの明滅により停止信号を現示する。 この他、長大トンネル箇所などでトンネル支障による事故から列車を防護するためトンネル入口に設置しているもの、工事用、船が橋梁に衝撃しその影響で線路が歪んだことを検知する橋梁偏位用などもある。
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