特別甲種幹部候補生制度
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「幹部候補生 (日本軍)」の記事における「特別甲種幹部候補生制度」の解説
1944年(昭和19年)5月、陸軍兵科及経理部予備役将校補充及服役臨時特例(勅令第327号)が施行された。これにもとづき高等教育機関に在学する陸軍外部の志願者の中から選抜され、兵の階級を経ずに兵科または経理部の予備役将校となる教育を受ける者が特別甲種幹部候補生であり、場合により特甲幹と略された。太平洋戦争が切迫した戦局であり従来以上に急速に予備役将校を補充するために、速成教育に対応する能力があり、なおかつ将校の地位にふさわしいという条件を満たすよう採用資格を次のように規定した(1944年5月時点)。 兵科(憲兵および飛行機操縦者を除く) 次のいずれかひとつに該当し、配属将校の行う教練検定に合格していること。大学令による大学の学部、または予科に在学する者。 高等学校高等科に在学する者。 高等師範学校、師範学校本科、または青年師範学校に在学する者。 陸軍大臣が上記と同等以上と認める学校に在学する者。 経理部 次のいずれかひとつに該当し、配属将校の行う教練検定に合格していること。陸軍補充令第54条第1項第2号に規定する学校を卒業した者。 法律、経済、商業、または農業に関する学科の専門学校に在学する者。 陸軍大臣が上記と同等以上と認める学校に在学する者。 陸軍補充令第54条第1項第2号に規定する学校とは、法律、経済、商業、工業(建築、土木、応用化学、染色、または紡績に限る)、または農業(農芸化学に限る)に関する学科の専門学校、あるいは陸軍大臣がこれらと同等以上と認める学校のことである。 上述の勅令では特別甲種幹部候補生の修業期間を1年6か月とし、採用された者は陸軍生徒として兵籍に編入され、陸軍予備士官学校、陸軍経理学校、または陸軍大臣の定める部隊に入校または入隊し、およそ1年間の集合教育を受けるとされた。集合教育の修了後は各部隊に配当され、将校となるのに必要な勤務をおよそ6か月間習得し、将校に適すると認められると少尉に任じられ予備役となる規定であった。修業中に与えられる階級は次のとおりである(1944年5月時点の規定)。 兵科および経理部 特別甲種幹部候補生 入校または入隊時に伍長、6か月後に軍曹。集合教育修了後、部隊配備され2か月(通算1年2か月)後に曹長の階級に進み見習士官。 1944年5月、陸軍省告示第17号で特別甲種幹部候補生(以下、特甲幹と略)の召募が行われた。志願者の資格は上記の学校におよそ1年以上在学し、同年3月31日の時点で満30歳未満の者であった。出願と身体検査は同年6月に行い、身体検査合格者には軍事学と作文の学科試験および口頭試問が7月に行われ採否が決定する。採用者の兵科(兵種)または部の区分は人物、学歴、特技、体格、本人の希望等を考慮し、陸軍の必要にもとづいて最終決定された。 特甲幹第1期採用は1944年10月に1万1000名(歩兵・砲兵のみ)、1945年(昭和20年)1月に7000名(歩兵・砲兵を除く兵科、経理部)の計画であった。さらに1945年2月、陸軍省告示第3号で特甲幹第2期の召募(同年5月採用)が、同年4月には陸軍省告示第16号で特甲幹第3期の召募(同年8月採用)が行われた。
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