照葉樹林文化論とは? わかりやすく解説

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照葉樹林文化論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 13:57 UTC 版)

照葉樹林文化論(しょうようじゅりんぶんかろん)とは、1970年代以降の日本の文化人類学において一定の影響力を持った学説である。具体的には、日本の生活文化の基盤をなすいくつかの要素が中国雲南省を中心とする東亜半月弧に集中しており、この一帯から長江流域・台湾を経て日本の南西部につづく照葉樹林地域に共通する文化の要素は共通の起源地から伝播したものではないかという仮説である。また日本列島の縄文文化は照葉樹林文化の一種であるとの誤解を一部にまねいた。


  1. ^ 熊本大学の横山智「納豆菌プラスミドDNAによる研究」[1] 参照、トゥア・ナオについても記述。
  2. ^ 佐々木高明『日本文化の多重構造−アジア的視野から日本文化を再考する』小学館,1997,第三章ほか。
  3. ^ 中尾佐助『中尾佐助著作集第IV巻 照葉樹林文化論』所収の佐々木高明による解説、北海道大学出版会、2006年
  4. ^ 池橋宏『稲作渡来民』(講談社メチエ、2008年) 7頁
  5. ^ a b 池橋宏『稲作の起源』(講談社メチエ、2005年)
  6. ^ 同書61頁
  7. ^ 本書については山口裕文が書評(『照葉樹林文化研究会ニュースレター第二号』2008年1月)において「これまでにない悪書」「個人を標的にして事実無根の批判を繰り返し、関連する文献を深く調べず、あいまいな引用をともなう稚拙な論考」であるとし、そういった池橋の姿勢を「科学者としてもっとも恥ずべき」と苛烈な言葉で糾弾している。池橋は中尾が初期において麹酒をインド由来としたと記述するが(同書29,64頁)、中尾にそのような記述は存在しない。『栽培植物と農耕の起源』68頁では、インドには外来の酒しかないとし、ソーマも「果物の汁」とあるという。また、山口は、中尾の作業仮説を批判するのであればその仮説を乗り越えるような仮説を提出すべきだと批判した。本書評について池橋は直接応答していないが、2008年に『稲作渡来民』を発表し、照葉樹林文化論による稲作渡来説への批判的応答を行ったという(池橋宏『稲作渡来民』講談社メチエ、2008年)
  8. ^ a b 松木武彦『日本の歴史1:列島創世記』小学館、2007年
  9. ^ 縄文前期から中期、西日本の植生は照葉樹林であったが、東日本は暖温帯落葉広葉樹林である。
  10. ^ 上山春平中尾佐助佐々木高明『続・照葉樹林文化』(中公新書、1976年)
  11. ^ 佐々木高明『照葉樹林文化とは何か』(中公新書、2007年)
  12. ^ もののけ姫を読み解く
  13. ^ 『もののけ姫 スタジオジブリ絵コンテ全集11』徳間書店87頁 なおフィルムコミック等では、「ワラット」と書かれる。「ワラツト」は特定の集団を指す語とされるが、他の集団である「石火矢衆」もこれを利用しているところから、特殊な雨具と思われる。
  14. ^ 家畜の飼育 利用をする地中海文化の影響が濃いらしい。
  15. ^ 日本土着の生物という設定。ニホンカモシカがアオシシ(青鹿)と呼ばれるのに対した語であろう。なお叶精作は「赤獅子」と表記しているが、作品にも絵コンテにもそのような表記は一切登場しない。
  16. ^ 『「もののけ姫」はこうして生まれた。』浦谷年良 徳間書店 81頁 念のため、文中宮崎は中尾を「京都の人だから」と紹介しているが、厳密には京都大学の人であって、中尾は愛知県出身である。


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照葉樹林文化論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:59 UTC 版)

照葉樹林」の記事における「照葉樹林文化論」の解説

詳細は「照葉樹林文化論」を参照 照葉樹林文化論は、植物学者中尾佐助文化人類学者佐々木高明らによって提唱され概念で、様々なヴァリアントを持つが、その骨子は、雲南・チベットから華南長江流域)、台湾経て日本の南西部広がる照葉樹林帯に共通の文化要素多くあり、これらが共通の起源をもつのではないかという仮説である。その議論のなかで中尾は「稲作文化」を「雑穀文化サバンナ農耕文化)の一部」とし、照葉樹林地域農耕文化マレー半島発生したウビ(里芋長芋農耕文化の上に、ニジェール川流域発生し伝播した先のインド移植栽培と「新種」の稲を得て東アジア浸透した雑穀文化乗ったではないか論じた。また佐々木はこの地域穀物におけるモチ品種焼畑農業漆器製作などの文化要素共有していると指摘した。 この説は一時ジャーナリズムでも盛んに取り上げられ一時大きな影響力持った。しかし考古学歴史学植物学などからの反論多く、特に2000年代入ってから、「栄養生殖による栽培植物から発生した」という説を唱えるイネ研究の池宏により中尾稲作起源論厳しく批判され議論となっている。

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