火災原因の分析
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「ノートルダム大聖堂の火災」の記事における「火災原因の分析」の解説
2019年4月16日(以下CEST)に検察は大聖堂からの出火が確認された2019年4月15日18時50分より前の2019年4月15日18時20分と2019年4月15日18時43分に火災警報が2回鳴っていたことを公表した。現地の捜査当局は、1回目の警報時はすぐに点検が実施されたが出火は確認できず、2回目の警報後に出火が確認されたとし、どのような仮説も否定していないことを示したうえで、現段階においては事件性の裏付けが不可能とし、2019年4月15日の出火は失火(過失による出火)であるという見解を示し、パリ検察は大聖堂で行われていた修復作業に関与した複数の建築会社の建設作業員と大聖堂の職員(警備員)などに対して出火翌日の2019年4月16日から事情聴取を開始した。また、大聖堂の中は損傷が激しいことから捜査は難航する見通しとされたが、科学捜査班や警察研究所が一部の火災現場への進入に成功し、現場検証を始めたことも明らかになった。なお、出火当時は大聖堂の屋根に改修作業に使うための足場が組まれ、そこまで行くために設置していたエレベーターが3基あり、そのうち2基が稼働していたことが分かっており、捜査当局は組まれていた足場の近くで何らかの原因で出火した可能性があるとみている。大聖堂の関係者は、大聖堂の内部に火災報知機や消火器はあったが、スプリンクラーなど自動消火設備がなかったことを認めている。火災発生日の2019年4月15日には、15人程度が現場で作業をしたとされる。また、火災の当日に修復作業をしていた業者は、出火確認時刻の約1時間前には作業を止めていたと述べた。ル・パリジャンは修復工事用のエレベーターに使われた電気回路がショートを起こしたことにより出火したとみて捜査当局が調べていると報じた。また、修復作業をしていた業者は、エレベーターは作業用の簡易式でエレベーターにはスプリンクラーの設置はされていなかったことを明らかにした。なお、フランスにはスプリンクラーなどを設置する義務は存在しない。 2019年4月24日にカナール・アンシェネは、禁煙とされていた火災発生現場からたばこ7本の吸殻を捜査当局が見つけたと報じた。また、カナール・アンシェネは大聖堂の改修を行っていた作業員が警察に対し、屋根にあった足場上での喫煙を認めたと報じた。これに対し、足場施工請負業者であるル・ブラ・フレールの広報は、警察に作業員の一部による喫煙を認めた事実を受け入れたが、大聖堂の火災は吸殻によるものではないと主張した。さらに、ル・ブラ・フレールは足場内部のエレベーター1基に使われた電気回路のショートが火災の原因とフランスで報じられていることに対し、エレベーターは尖塔から遠いうえ、火災発生場所は建物の中であるという見解を示して否定している。カナール・アンシェネは文化財保護の規則では警備員2人が監視所に24時間いることが決められていたが、その実態は1人だったうえ、警備員は朝8時から夜23時までしか勤務していなかったことや、電気配線が防火の規則で禁止されていた屋根の木造骨格部分を通過していたことを報じている。また、警備員は1回目の警報が4月15日18時16分に鳴り、そのあとにそれをコンピューターで確認した係員の誤った指示に従って屋根部分を見回りに行ったため、消防に通報するのが遅れたと主張しているが、係員の所属している会社はそれを否定したとカナール・アンシェネは報じている。 これらの状況から検察当局は、中間報告では「電気系統の故障、あるいはたばこの不始末ではないか」としていたが、調査結果説明は一部の要素しか発表していなかったため、最終的に「詳しい出火原因は不明」と結論付けた。 2020年3月のIfopによるフランス国民への調査では54%が「たぶん事故」、29%が「闇がある」、7%が「政府は隠しているが放火である」と回答している。未回答は10%。
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