漂巽紀畧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 02:04 UTC 版)
1852年に河田小龍が帰国したジョン万次郎から聞き書きした漂流記。全4巻。万次郎が1841年に漂流して米国船に助けられて渡米し、約11年後に帰国するまでの経過や米国での生活や文化が書かれている。藩主の山内容堂に献じられたが原本の行方は分かっていない。 龍馬記念館によると、幕末に作られた写本が6つあり、その1つは記念館が保管している。同時代の写本は10種類ほどあるとも言われる。京都外国語大学も写本を所蔵しており、巻一には漂流後上陸した鳥島で米船に救われるまでの状況のほか、世界略地図と鳥島の略図を付し、巻二には仲間の伝蔵兄弟らの帰国に関する記述のほか、ハワイ国オワフ島ホノルルの事情、米国滞在中の情況、汽船や汽車の図と説明を載せており、巻四には万次郎らが琉球を経て帰国するまでを記している。 キューリン本と呼ばれる別の写本は、大正時代にブルックリン博物館の学芸員スチュワート・キューリンが東京で発見したもので、挿絵が多く含まれている。キューリンは1912年に両国で開かれた古書展示販売会でニューイングランドの風景(ボストン埠頭の図)が描かれていたことから本書を購入。『漂巽紀畧』の写本であることがわかり、同年末、万次郎の長男・中浜東一郎がキューリンから本を借り受けて全巻を筆写した。キューリンは本とともに帰国し、1929年に没するまで本書を手元に置いたままであったが、1948年に遺族が希少本コレクターに売却、1966年にフィラデルフィアのローゼンバック博物館(en:Rosenbach Museum and Library)が購入し、欧州に初めて米国を紹介したアメリゴ・ヴェスプッチの「新大陸」とともに所蔵している。キューリン本は1976年の建国200年記念にワシントンで公開されたのち、1999年にローゼンバック博物館で、2003年にロサンゼルスの全米日系人博物館で、2013年に高知市の龍馬記念館で展示された。
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