漁業資源問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 21:52 UTC 版)
湖沼法指定や琵琶湖条例などの施策で琵琶湖は次第に水質が改善された。漁業資源の豊富な琵琶湖は古くから「鮒寿司」をはじめ魚介類にまつわる特産品も多く、漁業も重要な産業の一つであった。ところが近年のバスフィッシングの広がりで、琵琶湖においても外来魚による漁業被害が深刻になっていった。特にブラックバスやブルーギルといった獰猛な魚類は、在来生物への影響が大きく、琵琶湖在来の魚介類への生態系が破壊されるという漁業関係者の指摘が次第に大きくなった。「キャッチアンドリリース」という釣りのルールが、ブラックバスでは逆に問題を拡大するという指摘もあって、漁業協同組合による駆除が行われていたがいたちごっこであった。 こうした漁業資源の影響を危惧した滋賀県は、ブラックバスの放流禁止と罰則を明記した「琵琶湖のレジャー利用適正化条例」を2003年(平成15年)に制定。ブラックバス釣りに対して厳しい規制を掛けた。漁業関係者は大歓迎したがバスフィッシング愛好家は猛反発、清水国明等の愛好家タレントもマスコミなどを通じて条例反対を訴えた。現在琵琶湖においてブラックバスの放流は禁止され、持ち帰ることが義務化されている。一方1993年(平成5年)にラムサール条約の登録湿地に指定された琵琶湖は鳥類も多く生息するが、近年カワウの異常繁殖が新たな問題となっている。大群が夕刻河川や湖沼の魚類を捕獲することから漁業収穫高が減少したり、フンによる森林や建築物への被害が竹生島を中心に琵琶湖北部地域で深刻化。具体的な対策が取れていない状態である。 淀川下流域ではアシなどが繁茂していることから、絶滅危惧種であるイタセンパラやアユモドキなどが生息する重要な地域となっていた。だが生活排水による淀川の水質汚濁によって個体数は激減。これに加え1984年に淀川大堰が完成し、湛水によるアシ群生地の水没などによりイタセンパラの個体数は絶滅が危惧されるほど激減した。自然保護団体の指摘を受けた国土交通省近畿地方建設局は、淀川大堰上流部に人工のワンドを設けてイタセンパラの生息域を確保し、個体数の回復を図る対策を施した。一時期は効果があったものの、現状としては個体数の回復は絶望的との見方もある。アユモドキも鴨川・桂川の南丹市八木町付近では絶滅、亀岡市付近の生息域には京都府が京都スタジアムの建設を計画する、など危機的状況である。 ただ近年・淀川の水質改善により新淀川で天然ウナギが採れブランド化が図られたり、天然アユが淀川から桂川・鴨川へと遡上するのが確認される、など水質改善の効果の出ている部分もある。
※この「漁業資源問題」の解説は、「淀川」の解説の一部です。
「漁業資源問題」を含む「淀川」の記事については、「淀川」の概要を参照ください。
- 漁業資源問題のページへのリンク