淘汰とその要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 15:06 UTC 版)
「廃車 (鉄道)」も参照 老朽化 1980年代に入ると初期に製造された153系やキハ55系から老朽廃車が開始され、急行列車に充当されている急行形車両の置き換えは特急列車への格上げや快速列車への格下げを含めて特急形車両や一般形車両を充当するようになった。 状態の良い車両は前述の通り、普通列車やジョイフルトレインに転用され、中には更新工事を受けた車両もあったが、時代の変化による経年劣化や後述する事情もあり、結果的には廃車となっている。 ジョイフルトレインに改造された車両も老朽化に伴いキハ183系やキハ40系など比較的新しい車両に置き換えられるか、かねてよりの需要減により廃止となり減少していった。急行形車両の改造によるジョイフルトレインは、2018年のキハ58系「Kenji」の引退をもって全廃され、現存するものはない。 輸送実態の不適合 急行形車両の普通列車や快速列車としての運用は、冷房化など車両の水準向上に貢献した。しかし、急行形車両はデッキを有する客室構造、扉の少なさや狭さ、車端部寄りの扉配置、1両ごとにある便所や洗面所などにより、近郊型車両と比較すると収容力に劣り、また乗降に時間がかかるため、通勤輸送には適さなかった。前述の通り近郊形化改造を受けた車両もあったが、抜本的な対策にはならなかった。1973年に発生した乗客による大暴動「上尾事件」においては原因の1つとされ、近郊型車両への置き換えが進む結果となった。 153系を新快速に充当していた京阪神地区や快速列車に充当していた中京地区では、競合する私鉄では転換クロスシートを採用していたのに対し、153系はボックスシートであり見劣りしており、2扉転換クロスシートとした近郊形電車である117系が登場する要因になった。急行列車や一部の快速列車で使用していた車両の中には前述のとおり、座席を交換した車両もあったが、座席と窓が一致しない車両もあり、こちらも特急形車両などに置き換えられる要因となった。 編成の組成に対する制約 製造当時は急行型車両に限ったことではなかったが、電車では3両編成以上でしか使用できなかった。輸送量が小さい線区では輸送力過剰となるため、短い編成で通勤輸送にも対応できる一般形電車(通勤形電車・近郊形電車)に置き換えられる要因になった。 気動車では前述のように一部でワンマン化した車両もあり、中には単行運転できるように両運転台化した車両もあったが大部分が片運転台で使い勝手が悪く、キハ58系では急勾配路線での運用のために2エンジン車主体で配置されたところもあって冷房化が困難であり、冷房改造された車両も冷房用の発電機を備えた車両と併結しないと冷房が使用できないなど、こちらも高出力な一般形気動車に置き換えられる要因になっている。
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