海底地形図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 17:07 UTC 版)
海底の地形に関しては、地上の地形とは性質が大きく異なる。海底は目視できないし、海上であっても目視で位置を確認できる目標物は少ない。20世紀初頭までは竿やおもりで1点ずつ深さを測る事しかできなかったし、20世紀中ごろでもソナーによる線的な計測しかできなかった。面的把握が可能になったのはマルチビームソナーが実用化されて以降である。また信号の処理速度が向上し、音響技術と音波を介した画像伝送を組み合わせた測地技術を用いてしんかい6500を運用する。 技術の安定を待ち、海域に関しては目的を絞った地図が多い。海図が長年にわたって基本図として扱われてきたが、航海と漁業が海での活動のほとんどを占め、航海の安全のために位置情報を収集するのが第一であり、次いで領海など法的規制を表示する事が求められ、それ以外の情報は個別に収集すればよいとみなされていたためである。しかし近年は海洋資源開発、比較的深い海の埋め立て、地殻変動の調査など他の目的が増え、計測技術の進展とともに地上と似た海底地形図も作成されている。海底地形の精密な3Dモデルの使途は水産業に限定されず、水中の遺跡やサンゴ礁の分布の把握に応用の道がある。 比較的浅い近海域では、埋め立てなど地上との相互関係が重要な場合のために両方を扱う地図も作られてきた(日本の沿岸海域地形図など)。重要な湖沼に関しては地形図に水深を記載している事がある。変わったところでは、大潮の干潮時に海面上に出る事もあるサンゴ礁の地図を、海図ではなく地形図規格で作成したケースがある。震災による液状化現象の地理的把握に旧版地形図を下敷きとする新しい作図もされ、宅地のかさ上げに用いる地盤図への応用、生き物と自然による景観評価の基礎資料となる地形図も編まれている。 位置情報としての側面よりも、狭義の地形を詳しく把握するための地図として、地形分類図などがある。
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