海底地震メカニズムの解明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 04:47 UTC 版)
「島村英紀」の記事における「海底地震メカニズムの解明」の解説
島村らは日本近海で多くの海底地震観測を行い、海底下に起きる地震の性質を調べあげた。なかでも日本海中部地震(1983年)や北海道南西沖地震(1993年)など海底下に起きた地震の余震観測を海底地震計で行うことによって、本震(これらの大地震)のメカニズムや性質がはじめて正確に解き明かされただけではなく、ここでユーラシアプレートと北米プレートが衝突していることが明らかになった。このほか自然地震観測では、アイスランド沖の大西洋中央海嶺や、アゾレス諸島沖の大西洋中央海嶺、カリフォルニア沖のゴーダ海嶺、日本と同じようにプレートが潜り込んでいくが、その様式が違うカリブ海、(この200年で7回の大噴火があったので火山性地震を研究するために)ラバウル(パプアニューギニア)、イラン沖のアラビア海などで、精密な震源やメカニズムの研究を行った。 また地下構造の研究としては、ノルウェー沖の大西洋、アイスランド沖の大西洋中央海嶺、北極海、南極海、トルコのマルマラ海、ノルウェー西部のソグネフィヨルドなどで、毎年のように海底地震観測を行って、世界的な成果を得てきている。たとえば、ノルウェー沖での研究からは、ユーラシア大陸が約7500万年前にグリーンランドと分かれて、その間に大西洋が生まれて拡がっていき、その後アイスランドが誕生した歴史を明らかにした。 これら国外での研究の全部は、島村らが日本から海底地震計を持っていき、それぞれの国で借りた海洋観測船(ときには沿岸警備艇や漁船)を使って海底地震計の設置やエアガンによる人工地震を行う、という形の共同研究として行ってきた。このため島村は1987年から2004年まで、毎年(ときには年に複数回)、外国に赴いて、この種の共同研究を組織して、業績を上げてきている。共同研究の相手方としては、ハンブルク大学(ドイツ)、ベルゲン大学(ノルウェー)、アイスランド気象庁、アイスランド大学、ポーランド科学アカデミー地球物理学研究所、アルゼンチン国立南極研究所(IAA)、ケンブリッジ大学(英国)、パリ大学(フランス)、カリフォルニア大学(米国)、リスボン大学(ポルトガル)、オレゴン州立大学(米国, OSU)、フランス国立海洋開発研究所(IFREMER、以前のCNEXO)、イスタンブール工科大学(トルコ)、オーストラリア国立大学(ANU)、ラバウル火山観測所(RVO, パプアニューギニア)、オーストラリア地質調査所(BMR)などにわたっている。 これらの研究の成果は国際的な科学雑誌や国際学会で発表されている。また、採用されることがむつかしい科学雑誌『ネイチャー』にも、島村を筆頭著者として3つの論文が採択された。このほか外国の学術雑誌に英文論文が約100発表されている。 これらの海底地震観測で、島村は97回、合計約1000日乗船し、船上で地球12周を過ごした。研究での海外渡航歴は76回、合計した海外滞在日数は1600日余になる[要出典]。
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